雰囲気たっぷりのスパイ・ノワール 『無名』(ネタバレ感想)

雰囲気たっぷりのスパイ・ノワール 『無名』(ネタバレ感想)

第2次世界大戦下、1940年代の中国・上海を舞台に暗躍した中国共産党・中国国民党・日本軍の、名もなきスパイたちを描いたノワールサスペンス『無名』を観ました。
悪は存在しない』を観てえ〜っとなっている直後に観て、今度は頭をキリキリ使う羽目に。

 

无名/Hidden Blade 2023年中国 131分

 

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ストーリー

1941年上海。日本の傀儡政権であった汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフーは、部下のイエやワンと共に敵対する中国共産党勢力と熾烈なスパイ戦を繰り広げていた。中国共産党の秘密工作員だった男ジャンの身辺調査を行い、中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を聞き出すことに成功する。日本軍スパイのトップ・渡部は、フーやその上司タンと日本料理店でドイツ軍や日本軍の戦局について話す。

キャスト

中国国民党の諜報員フーに『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のトニー・レオン、部下のイエにTVドラマ「陳情令」のワン・イーボー、同じくワンに「三体」のエリック・ワン、上司タンにダー・ポン、日本軍の渡部に森博之、ジャンにホアン・レイ、フーの連絡係チェンにジョウ・シュン、イエの恋人ファンにチャン・ジンイー、他ジャン・シューインなど。
監督・脚本・編集は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』のチェン・アル

ネタバレ感想

時系列がかなり前後するのと、女性の顔の区別がつきにくいのと、
当時の中国の体制が分かっていないのでちょっと戸惑いました。
あと、渡部が日本語、フー達が中国語で会話するのにも。

1938年の日本軍による広州爆撃(犬が〜)を生き延びたフーは、1941年には汪兆銘政権の政治保衛部の諜報員となり、日本が占領している上海で、上司のタンと日本軍の渡部の指示のもと、部下のイエやワンと共に中国共産党へスパイ活動を行っていた。
二重スパイ、三重スパイがいてもおかしくない政情と戦局、互いに腹を探り合いながらの攻防戦。

フーが実は〜というのは早くから分かるのだけれど、イエが最後まで判断がつかずヤキモキ。
端正すぎる顔立ちのワン・イーボーは、涙をはらりと落とすのも美しい。
イエが終盤にフーに対して奥さんの死を揶揄する態度にすごくムカついたけれど、
結局それも演技だったというオチでホッとしました。
フーとイエのまさに死闘シーンが激しくてハラハラ、スタントではなかったそうで、流石のトニー・レオン
なかなか見応え十分のスパイノワールだったけれど、日本軍の残虐シーンは不要だった気がするし、
この映画が香港映画ではなく中国映画となってしまったのが寂しい。

 

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