濱口竜介監督の『悪は存在しない』を観ました。
画面がエンドクレジットに変わった瞬間、思わず「えー!」と声が出ちゃいましたよ( ̄▼ ̄;アハッ・・・・
Evil Does Not Exist 2023年日 106分
ストーリー
自然豊かな高原に位置する長野県水挽町(架空)は、東京からも近いため近年移住者が増加傾向にあり、ごく緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧は、娘の花とともに自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送っているが、ある時、家の近くでグランピング場の設営計画が持ち上がる。それは、コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだった。しかし、彼らが町の水源に汚水を流そうとしていることがわかったことから町内に動揺が広がり、巧たちの静かな生活にも思わぬ余波が及ぶことになる。(公式HPより)
キャスト
巧に制作スタッフだった大美賀均、巧の娘・花にオーディションで選ばれた西川玲、芸能事務所の高橋に小坂竜士、薫に渋谷采郁。他、菊池葉月、三浦博之、鳥井雄人、山村崇子、長尾卓磨、宮田佳典、田村泰二郎など。
監督は『ドライブ・マイ・カー』、『偶然と想像』の濱口竜介、音楽は石橋英子。
ネタバレ感想
2023年・第80回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したほか、映画祭本体とは別機関から授与される国際批評家連盟賞、映画企業特別賞、人・職場・環境賞の3つの独立賞も受賞。
冒頭4分間、歩きながら見上げている様に木々を下から写しているシーンがあって、
ただ気と空だけが延々と写り、それを観ていると逆に、木の上から雪の地面を撮っている様な錯覚を覚えました。
実は鑑賞前に軽くネタバレを喰らってしまい、
どうしてそうなるの?と思いながら観てしまったので、
静かな山間の暮らしが、怖いほどではないけれど、常に不穏に感じてしまいました。
濱口監督作は寓話的だけどファンタジーではなくて、
コロナ禍で経営不振の芸能事務所に、
助成金が出るからグランピング事業を始めたらどうかと持ちかけるコンサルタント、
真に受けてリスクを考えずその気になる社長、ガス抜きのためだけの地元向け説明会、
嫌なこと面倒なことは全て押し付けられる下、何かが起きても責任取らないであろう会社の姿が、
地震列島に原発を作り後始末できない、自然破壊して軍の基地を作る政府とダブります。
映画は、予想していた芸能事務所対地域住民ではなく、
自然対人間、自然と共存ではなく、人間が一方的に自然破壊をしてしまう。
しかし時折、自然からの手痛いしっぺ返しをくらう。
ラストはそういうことかな〜と。
『LUMB /ラム』の最後を思い出しちゃいました。