鑑賞後、猛烈に語りたくなる 『LAMB /ラム』(ネタバレ感想)

鑑賞後、猛烈に語りたくなる 『LAMB /ラム』(ネタバレ感想)

第74回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門で受賞、A24が北米配給権を獲得した超自然スリラーの『LAMB /ラム』を観ました。寓話的で奇妙なお話ですが、ヨルゴス・ランティモス監督作みたいに難解ではありません。

 

Lamb/Dýrið 2021年アイスランド/スェーデン/ポーランド 106分 R15+

 

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ストーリー

人里離れた山間で牧羊を営む夫婦イングヴァルとマリア。いつもの様に羊の出産に立ち会っていると、「羊ではない何か」が生まれる。そのまま抱きかかえて家に戻るマリア。当たり前の様に、2人はその子を自分達夫婦の子供として一緒に暮らし始める。ある日、イングヴァルの弟のペートゥルが訪ねて来て、その光景を見て愕然とする。

キャスト

マリアに『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』シリーズや『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』のノオミ・ラパス、この人を綺麗だと意識したのは、実は初めてかも。いつも激しい役のイメージだったので。
イングヴァルにヒルミル・スナイル・グドゥナソン、ペートゥルにビョルン・フリーヌル・ハラルドソンなど。
監督はヴァルディマル・ヨハンソン

ネタバレ感想

鑑賞後、この夫婦は一体どうしたら良かったんだろうと考えてしまって止まりませんでした。

人里離れて暮らす夫婦。広大な土地には夫婦と犬、猫、そして飼育している羊達のみ。
夫婦仲は良く、一緒に牧羊の仕事をして、余暇には読書やTV鑑賞をしたりして生活に不満はなさそう。
そんな静かな生活の中、突然事件が起こります。

何が生まれたのか、なぜ育てようとするのかは徐々に分かってきます。
頭と右腕だけが羊で、他は人間の子どもと同じな何か。夫妻はどうやら幼い娘を亡くしている。
娘の服を着せ、娘の名前と同じアダと名づけ、天からの授かりものとして育てます。
しかしアダを産んだ母親羊が、アダを返せと言わんばかりに寝室の窓辺で鳴き続け、精神的に追い詰められたマリアは母羊を殺してしまう。その場面を夫の弟ペートゥルに目撃される。
アダを実の子供のように可愛がる兄夫婦を見たペートゥルは、その異様さにアダを連れ出して殺そうとしますが思いとどまり、彼もまたアダを可愛がるようになります。

頭は羊のまんまだし、それほど愛くるしいとも思えないのですが、夫妻はお産で取り上げた途端に暗黙のまま、当たり前のように自分達の子どもとして育てはじめます。
この夫婦の娘が亡くなっていなければ、育てようとはしなかったでしょうし、その場合生まれてきた子はどうなったでしょう。
マリアが母羊を殺さなければ、イングヴァルは無事だったのでしょうか。
そして、アダの父親は一体何なんでしょう。(古代エジプトの神に頭が牡羊の神が居たような〜)
静かな場所って、狂気と隣り合わせな気がしますね。

 

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