構想30年の情熱と、狂気 『フェラーリ』(ネタバレ感想)

構想30年の情熱と、狂気 『フェラーリ』(ネタバレ感想)

マイケル・マン監督8年ぶりの新作『フェラーリ』を観ました。
自然の中を疾走するレースシーンは、真っ赤な車体が事故シーンでさえ鮮烈で美しい。

 

FERRARI 2023年米 130分 PG12

 

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ストーリー

1957年、エンツォ・フェラーリは危機に直面していた。業績不振でフェラーリ社は倒産の瀬戸際、家庭では1年前に息子のディーノが病で亡くなって以来、妻ラウラとの関係が冷え切っていた。その上、ラウラに秘密にしている愛人リナ・ラルディからは2人の間の息子ピエロの認知を迫られていた。そんなエンツォにとって、過酷な公道レース“ミッレミリア”での勝利のみが、危機を脱する唯一の道だったが…。

キャスト

エンツォ・フェラーリに『ハウス・オブ・グッチ』のアダム・ドライヴァー、妻で共同経営者のラウラにペネロペ・クルス、愛人リナ・ラルディに『モーリタニアン 黒塗りの記録』のシェイリーン・ウッドリー、エンツォの母にダニエラ・ピッペルノ、レーサーのピエロ・タルフィに自身もレーサーのパトリック・デンプシー、ピーター・コリンズにジャック・オコンネル、アルフォンソ・デ・ポルターゴ侯爵にガブリエル・レオーネ、他サラ・ガドンなど。
監督は『ヒート』のマイケル・マン

ネタバレ感想

「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」が出版されてから構想30年。
フェラーリの創設者エンツォ・フェラーリが59歳で迎えた危機について描かれています。
元々レーサーだったエンツォはレースで走るために車を作り売っていますが経営は厳しく、
破産を逃れるためには大手と組んで大量生産しなければならない。
一方家庭では、1年目に息子を亡くし、妻ラウラとの関係は冷え、
隠していた愛人リナと彼女との間の息子の存在をラウラに知られるが、
フェラーリ社の共同経営者であるラウラとは離婚できない状況。
破産の危機を乗り越えるためには、ミッレミリアのレースで勝ち、フェラーリの力を示さないといけないが、
そのレースでとんでもない事故が起こります。

アダム・ドライヴァーは同じイタリア人のグッチも演じていますが、流石にまったく違いますね。
一見クールで無表情ながら決して冷酷ではなく、2人の息子への愛情やリナやラウラへの想い、
レースへの情熱や社を立て直す戦略など、しっかり描かれているドラマも見応えありながら、
やはりクライマックスのレースシーン、街中や郊外を疾走する車が美しい。
レースシーンのリアリティへのこだわりが、優勝かと安心した瞬間に起こる事故シーンの悲惨さを際立たせます。

当初シドニー・ポラック監督と制作企画していたようで、クレジットで弔意が述べられていました。
結末はぜひ劇場で!

 

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