静かに沁みます 『ドライブ・マイ・カー』(ネタバレ感想)

静かに沁みます 『ドライブ・マイ・カー』(ネタバレ感想)

第74回(2021年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞他3つの賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』をシネマ・ルナティックで観ました。村上春樹の同名短編が原作。ファンタジーやマーベルなんかは余裕なんですが、邦画(って雰囲気でもなかった)での3時間はちょっと不安でしたが、特に長くも感じませんでした。

 

ドライブ・マイ・カー 2021年日 179分 PG 12

 

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ストーリー

舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と仲睦まじく暮らしていたが、妻はクモ膜下出血で突然帰らぬ人に。
2年後、広島の演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで向かう。アジア各国から応募してきた俳優の中には過去に妻から紹介された高槻も居た。
運転を禁じられた事に最初は抵抗があった家福だったが、無愛想な専属ドライバーのみさきの運転の上手さに、愛車の運転を任せ次第に彼女を信頼する様になっていた。
舞台は上映に向け順調に仕上っていたが…。

キャスト

家福悠介を西島秀俊、妻の音に霧島れいか、専属ドライバーの渡利みさきに三浦透子、高槻耕史に岡田将生、イ・ユナにパク・ユリム、ドラマトゥルクのコン・ユンスにジン・デヨン、ジャニス・チャンにソニア・ユアン、演劇祭のプログラマー柚原に安部聡子、ペリー・ディゾン、アン・フィテなど。
監督は『偶然と想像』でベネチア国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介

ネタバレ感想

村上春樹は好きな作家で、以前は新作が出ると欠かさず読んでいたのですが、最近は読書の時間というものが無くなってしまい(マンガは読んでるのに^^;)死ぬまでに読めるとも思えないので、買って積むことすらしなくなりました(>_<)
今回の原作も未読で、積読本の中に有ると思って探したのに見当たらず、未読のまま鑑賞。
家福の愛車がオープンルーフのサーブであったり、妻が語る物語が、ああ村上春樹だなぁ〜と思い出しました。

まず劇中劇に驚かされます。東京の舞台で家福が演じているのがベケットの「ゴドーを待ちながら」。相手役は外国人で外国語で台詞を言い、家福は日本語で応じます。外国語の字幕は舞台上部のスクリーンに出ます。
前衛的に感じましたが、最近はこの程度当たり前なのかな?
広島ではチェーホフの「ワーニャ伯父さん」、こちらもアジア各国から集まった俳優がそれぞれ自国語で台詞を言い、なんと手話で台詞を言う人も。この手話での演技が力強く惹き込まれます。

それぞれに喪失と罪の意識を抱えている家福やみさき、高槻の状況が「ワーニャ伯父さん」の話の状況と重なり、また車内のカセットテープから流れる妻が吹き込んだ台詞とシンクロする構成が見事で、流石の脚本賞受賞。

運転中の家福夫妻、車の中で高槻から語られる妻の話、北海道から広島に車で流れ着いたみさきの話、車がキーになっています。追い込まれた家福を乗せて故郷へドライブするみさき、ロードムービーでもありました。

物語の展開は、案外予想通りに進むので、観てる側がそれぞれの心情に深く寄り添う余裕があるのも良かった。
最後のシーンで、買い物を終えたみさきが向かうのが真っ赤なサーブなのも予想通りでしたが、彼女の表情が柔らかく後味も良かったです。

お勧めです。ぜひ!

 

思わず買いました。本はこれから読みますが、多分映画の方が良いと思う。

 

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