『バイス』 社会派コメディで描く世界を巻き込んだ悪

『バイス』 社会派コメディで描く世界を巻き込んだ悪

シリアスな社会派ドラマ『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の後に『バイス』を観たら、コチラはブラック・コメディでしたね。本人存命中の伝記なのにコメディなのもと思ったけれど、『ブッシュ』もそんな感じでしたっけ。

VICE   2018年米 132分

ストーリー

2001年から8年間、第46代副大統領となったディック・チェイニー、酒癖が悪く大学を中退して電気工として働いていた彼が、どの様に副大統領にまで上り詰めたかを描いた伝記的作品。

9.11同時多発テロ後、大量破壊兵器があるという名目でイラク戦争を起こした政府の嘘を暴いた『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の裏側も描かれています。当時の政府内で誰が首謀者で、何のためにイラク戦争を始めたのか。

そっくりなキャストたち

ディック・チェイニーに20キロ増量したクリスチャン・ベール、『ブッシュ』の時はブッシュ候補だった彼が、今回チェイニー役というのも面白い。安定のベールクオリティでしっかり似せてきているけど、まん丸になったベールの顔を見るだけで笑えてきてしまう。チェイニーの妻リンにエイミー・アダムス
チェイニーの師であるドナルド・ラムズフェルド元国防長官にスティーブ・カレル、最近出演作ごとに全く違うタイプの人物を演じているカレルが本当に凄い。オスカー5つくらい貰っていそうな勢い。
ジョージ・W・ブッシュにサム・ロックウェル、他の映画ならすごく目立ちそうなのに、今作ではおとなし目。
演じるのが実在の人物なので、みんなとてもよく似せているのに、エディ・マーサンだけはそのまんま。
他、ジェシー・プレモンス、ナオミ・ワッツ、アルフレッド・モリーナなど。
監督は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』などのアダム・マッケイ
製作はブラッド・ピット率いるプランB。

感想

ジェシー・プレモンスのナレーションで語られます。(彼の正体については後半に分かるけど、これがまたブラックジョーク)チェイニーについては名前を聞いたことがある程度の知識しか無くて、当時の政権のブッシュ、ラムズフェルド、パウエル、ライスたちはニュースでも目にしていましたが、チェイニーについては見た覚えもないくらいでした。

そのチェイニーの生い立ちや妻リンとの馴れ初め、野心があったのはリンの方で、同じ様な元大統領夫妻もいましたよね。酒癖が悪く逮捕歴も有り、こんな人がなぜ副大統領にとも思いましたが、今の日本政府を見ても資質どころか品性も何も無い人も居るので、タイミングやコネの使い方が上手ければいけるのでしょう。
副大統領になる時も、副大統領にいろんな権限を持たせる様にし、最も怖いのが「一元的執政府」。緊急事態時には大統領が議会の干渉を受けずに一元的な統治をする .いわゆる独裁制。何処かの国の「緊急事態基本法」を思い出しました。
世界最大の石油掘削機の販売会社ハリバートンの元CEOであり、最大の株主であったチェイニーがイラク戦争を推し進めた理由など、どうしても今の日本の利権主義の状況がチラつくし、結果的にISを生み出す事になったことを考えると、あの手この手で笑わせてくるのに、素直に笑えませんでしたわ。
映画は面白かったし、大変勉強になりましたけど。

 

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