こちらも第96回アカデミー賞の国際長編映画賞ノミネート作、
『ありふれた教室』を観ました。
DAS LEHRERZIMMER 2023年独 99分
ストーリー
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち生徒から慕われていた。ある時、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを開始。ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物が盗みを働く瞬間が収められていた。しかし、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は、やがて保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立といった事態を招いてしまう。後戻りのできないカーラは、次第に孤立無援の窮地に追い込まれていく。(公式HPより)
キャスト
カーラに『白いリボン』のレオニー・ベネシュ、優秀な生徒オスカーにレオナルト・シュテットニッシュ、オスカーの母クーンにエーファ・レーバウ、リーベンヴェルダ先生にミヒャエル・クラマー、ドゥデク先生に『ヒトラーのための虐殺会議』のラファエル・シュタホヴィアクなど。
監督はイルケル・チャタク。
ネタバレ感想
第96回アカデミー賞の国際長編映画賞ノミネートのドイツ代表はこちらでした。
ドイツのアカデミー賞にあたるドイツ映画賞では、作品賞はじめ5部門を受賞。
ドイツの義務教育は9年間(一部は10年)。
6歳から4年間の小学校の後、10歳から15歳までの生徒たちが通うのが中学校。
カーラが赴任して受け持ったのが中学1年生のクラス。
まだ子供らしさもありつつ、そろそろ反抗期かしら。
校内で度々盗みが起こり、カーラのクラスが疑われ、
「不寛容方式」なる方針の校長は、生徒の財布を調べるという行動に。
その方法に不満を持ったカーラは、思いつきで犯人への罠を仕掛ける。
気持ちはわかるけれど、思いつきで罠を仕掛けたのは失敗でしたね。
行動を起こすときは、その後の対処方法まで考えておかないと。
容疑者は逆ギレ。
真犯人は別に居るという展開なのかとも思いましたが、
そうではなく、結局はっきり断定はされません。
彼女の息子が、カーラのクラスの優秀でお気に入りの生徒だったので余計複雑に。
カーラが赴任してきたばかりで、あまり親しい友人も居なかったのも災いし、
ベテランだと言う割に頼りにならない校長や職員の中でも孤立、
生徒からは反発され、生徒の親からは非難される。
プレッシャーからパニック障害の発作を起こすカーラ。
生徒も親も職員も、それぞれがそれぞれの立場で主張するけれど、
正しいことを言っていても、見ている方向が違っている。
身近にもある現実で、確かに「ありふれている」かも。
でも一番可哀想なのは、母親とカーラの間で板挟みになったオスカー。
彼もまた追い詰められていきますが、ラストは肝が据わっていました。
後味はそれほど悪くはないけれど、
信念を貫こうとするとどんどん障害が立ち塞がるのは、まるで朝ドラみたいかも〜。