かつて『デューン/砂の惑星』の監督をするはずだったリドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』を観ました。
リメイク版『DUNE/デューン 砂の惑星』と公開日が同じという因縁(←そっちを先に観ちゃったし( ̄∀ ̄*)イヒッ)
長尺を感じさせない緊張感でずっしり重い見応えでした。
The Last Duel 2021年米 153分 PG12
ストーリー
14世紀百年戦争中のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは、妻マルグリットからカルージュが出兵中に強姦されたことを聞く。犯人は従騎士のジャック・ル・グリだという。しかし目撃者もなく、無実を訴えるル・グリと重罰を望むカルージュの主張はいつまでも平行線のまま。そこでカルージュは国王シャルル6世へ決闘での決着を求め、互いの生死を懸けた決闘裁判に委ねられることに。真実の行方は、神が正義の者を勝利に導くと信じられていた。そして、カルージュが負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりとなるあまりにも非情な裁判だった。
キャスト
ジャン・ド・カルージュにマット・デイモン、妻のマルグリットに『フリー・ガイ』でモロトフ・ガールを演じたジョディ・カマー、ジャック・ル・グリにアダム・ドライヴァー、ピエール伯にベン・アフレック、ジャンの母にハリエット・ウォルター、王にアレックス・ハウザー、他マートン・ソーカスなど。
監督はリドリー・スコット。脚本は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』以来のベン・アフレック×マット・デイモンに『ある女流作家の罪と罰』のニコール・ホロセフナーが加わっています。
ネタバレ感想
同じ出来事を、カルージュ、ル・グリ、マルグリットのそれぞれの視点で描かれる3章で構成。
第1章のカルージュ視点では、妻思いの真面目で不遇な騎士カルージュが描かれ、第2章のル・グリ視点では、お金も名家の出でもない従騎士がピエール伯に気に入られ重用され、カルージュの妻マルグリットに恋する男として描かれます。
衝撃的なのは第3章のマルグリット視点。持参金と世継ぎを産む道具として嫁ぎ、短気で頭の固い夫と義母に妊娠を急かされる日々。レイプされた事を告発すると、義母に責められ親友からも白い目で見られ、法廷ではハラスメントの雨嵐、決闘裁判で夫が負けるとマルグリットも裸で火炙りにされるという。妻の命より名誉のために決闘を決めた夫、尊厳だけでなく生死でさえも夫に託さざるを得ない立場。マルグリットの立場の弱さに、観ている方も辛くなってきます。
それぞれの視点なので第3章のマルグリットの視点が真実というわけではないのでしょうが、第1章では妻を大切にする夫だと自身が思っているカルージュ、第2章ではマルグリットも自分を好きなので強姦ではないと信じているル・グリと、自分が思っている姿と現実との相違があらわになる構成は見事でした。
最初は戦争シーンや上手く立ち回れないカルージュにのりきれなさを感じましたが、次第に展開に引き込まれ、最後はマルグリット同様祈る様な気持ちで観いました。
中世の出鱈目な迷信にはうんざりしますが、出鱈目を信じる人は今でも居るし、ミソジニーやセカンドレイプも。
昔の話と流せなくてずっしり来ました。