Netflixで『伯爵』を見ました。
よく分からないまま見始め、最後までよく分かりませんでしたけど、不思議に面白かったです。
終盤に明かされる意外な事で、ようやくブラックコメディだと気づきました。
モノクロの映像は美しいのだけれど、暴力とゴアたっぷりです。
El Conde 2023年チリ 111分 R16+
ストーリー
大陸南端にある廃墟のような屋敷でひっそりと暮らす吸血鬼アウグスト・ピノチェト。伯爵と呼ばれる様になり、隠し財産も蓄えながら生き血を飲み続けて250年も生きながらえてきた彼だったが、生きることに疲れ、永遠の命を手放すことを決意する。しかしなかなか死ねず、家族はそんな彼の財産を狙うばかり。そこへカルメンが現れ…。
キャスト
アウグスト・ピノチェトにハイメ・バデル, 妻のルシアにグロリア・ムンチマイヤー、奴隷のフョードルにアルフレド・カストロ、カルメンにパウラ・ルクシンゲル、マーガレットにステラ・ゴネットなど。
監督は『スペンサー ダイアナの決意』のパブロ・ラライン。
ネタバレ感想
吸血鬼って不老不死だと思っていたんですが、この作品の吸血鬼は老いてます。
太陽光も平気で昼間も普通に活動、棺桶でも寝ない。人間の妻子あり。
空を浮遊でき、人の心臓をミキサーにかけてスムージーにして飲みます。
1973年のチリ・クーデターで第30代大統領になり、1990年まで処刑・投獄・暴力などを用いた独裁政治を行なったアウグスト・ピノチェットが、実は吸血鬼だったという風刺。
アウグスト・ピノチェットはパリで生を受け、偉くなれそうだとチリで軍人になり、クーデターを起こして伯爵と呼ばれる様になり、汚職がバレるのを恐れて死んだふりをして逃げ、その間に妻と5人の子供をもうけ、と250年好き放題に生きてきて、そろそろ死にたくなっている吸血鬼というストーリー。
妻と子供に遺産を相続させようとしますが、子供は遺産目当て、妻はピノチェットの奴隷フョードルと不倫と欲まみれ。
そんな中、財産整理をしてもらうために呼んだカルメンを見染めるピノチェット。
実はカルメンは悪魔退治のために教会から派遣されていたのですが、いつの間にかピノチェットの意のままに。
そこへ突如飛んで来た、ナレーションの声の主、鉄の女マーガレット・サッチャー。
彼女も吸血鬼で、ピノチェットの母だったというオチ(?)
どうやら風刺や比喩がたっぷり入っている様なのですが、
チリの歴史に疎いので、ただ奇想天外なストーリーにしか思えず。
吸血鬼ものにしてはなんか変な話だなと思っていたら、
サッチャーが出てきたあたりでやっとブラックコメディだと分かりました。
死にたいと思っていたはずのピノチェットは、新たに生きる希望を持つラスト。
強欲は死なないというメッセージかしらん。