孤独に気付いた時 『イニシェリン島の精霊』(ネタバレ感想)

映画の旅

スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督の5年ぶりの新作『イニシェリン島の精霊』を観ました。
賞レースを賑わせていることで話題の作品。
スリー・ビルボード』はかなりセンセーショナルな内容でしたけれど、こちらは静かさの中に不穏な空気が漂って…。

 

The Banshees of Inisherin 2022年英/米/アイルランド 114分 PG12

 

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ストーリー

1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから突然絶縁を言い渡されてしまう。理由がわからないパードリックは、何とかコルムを宥めようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶し、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言し…。

キャスト

パードリックに『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のコリン・ファレル、コルムに『ハリー・ポッター』シリーズのブレンダン・グリーソン、パードリックの妹シボーンに『スリー・ビルボード』のケリー・コンドン、警官の息子ドミニクに『グリーン・ナイト』のバリー・コーガンなど。
監督は『ヒットマンズ・レクイエム』(2008)でもファレルとグリーソンと組んだマーティン・マクドナー

ネタバレ感想

小さい島、島内全員が顔見知り、島の中での唯一の娯楽施設がパブ1軒だけ。
本土の内戦の銃声が時折響くけれど、島内は至って静か。
一見平和に見える島、その島の中で一番で唯一の親友と思っているコルムから、もう話しかけるなと突然言われたパードリック。
そりゃ困惑しますよね。
相手を怒らせるようなことをした覚えもなく、実際してもいなくて、ただお前は退屈だと言われる。
パードリックの妹シボーンからも、パードリックが退屈なのは昔からなのに、突然嫌になったのは何故かとコルムは聞かれますが、音楽家のコルムは作曲など時間を有意義に使いたいと答えるのみ。

パードリックは妹のシボーンと違い賢くは無いけれど、島中で誰にも相手にされないドミニクにも親切にしてやる良い奴。
対してコルムは思慮深く、音楽家でもあり島内でもインテリの部類、しかもかなりの頑固者。
狭い島、お馴染みの顔ぶれいつもの日常。変化もないけれどプライバシーも無い。
権力を傘にきてやりたい放題の警官、へつらう奴、ゴシップを求める奴、それでも日々にも島にも不満はないパードリックでしたが、愛ロバの死でとうとうブチ切れます。

ラスト、今後の2人はどうなるのか?
もう退屈ではなくなったパードリックにコルムはどうするのか?
あとは、観客に任せて、終わります。
今作も一筋縄ではいかない感じ。(;-_-) =3 フゥ

 

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コメント

  1. einhorn223 より:

    パードリックは最初はただのアホだったのが、最後は一本筋が通るけど、正気じゃなくなっている。アホの正気と、考える狂気のどっちがいいのか考えると、戦争を起こすの後者なんだと気づかせる映画として面白かったです。

    • 木蓮 木蓮 より:

      einhornさん

      なるほど、おっしゃるとおりパードリックはアホだけど正気、コルムは賢いけどとった態度は狂気でしたね。
      確かに戦争を起こすのは後者だけど、戦争を起こす時点で、ある意味思考は止まっちゃっている気もします。

  2. kero より:

    観ました! 今年初の映画が不穏なこれで。でも飽きずに最後まで観てしまう作品でしたねぇ。あそこまで過激でなくても、似たようなことは人間関係であるかも。あれだけ拒絶されても、なぜあそこまでパードックがコルムに執着してしまうのか。うーん、かまってちゃんなのか。やはり寂しいんだろうね。あの島の環境じゃなかったら、少しは違ってたのかなぁ。「スリー・ビルボード」を観てないので、またそちらもいずれ。

    • 木蓮 木蓮 より:

      keroちゃん

      不穏だったね〜。
      『ラム』以来の不穏さ。
      自分も割と人を切ったりするタイプなので、コルムを責められない(>_<) やはり狭い中に閉じこもっていてはダメだね〜。外に出よう! 『スリー・ビルボード』はまだ動きがあってミステリー性が強め。ぜひ!

  3. 風森湛 より:

    観ました!これは絶対にみのがしたくなかった作品です。公開中なのでいろいろ書けないので感想に悩みました。魔女風の老女が予言した2人の内1人はあの子でしょ?もう1人はこれからの事かなあ…と妄想を膨らませちゃいました(^^♪

    • 木蓮 木蓮 より:

      風森湛さん

      人様の感想を読んでいて、
      パードリックはそばにいて話を聞いてくれる人が居ないと寂しい。
      コルムは自分が興味を持つことに対して理解してくれる人が居ないことに孤独を感じるというのに、なるほどな〜と。
      自分がブログやってるのもそれだよな〜と思いました。

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