サンダンス映画祭で4冠、また余計な副題が付いている『コーダ あいのうた』を観ました。
原題の「CODA」とは「Child of Deaf Adults」(ろうあの親を持つ子供)の意味だそう。
CODA 2021年米/仏/加 112分 PG12
ストーリー
マサチューセッツ州の海辺の町グロスターに暮らす高校生のルビー。両親も兄も耳が聞こえず、家族の中で健聴者は彼女だけ。そのため、手話の通訳や家業である漁業の手伝いなど、家族が日常生活を送るうえでルビーのサポートは不可欠となっていた。高校の新学期、密かに気になっているマイルズと共に合唱クラブに入部したルビー。顧問のベルナルド先生に歌の才能を見出され、ボストンの音楽大学を目指すよう熱心に勧められる。マイルズと一緒に大学進学を夢見るルビーだったが、家族との間で板挟みに。
キャスト
ルビーにエミリア・ジョーンズ、母ジャッキーに『愛は静けさの中に』のマーリー・マトリン、父フランクにトロイ・コッツアー、兄のレオにダニエル・デュラント、3人は実際に聴覚障害者。
マイルズに『シング・ストリート 未来へのうた』のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ベルナルド先生にエウヘニオ・デルベス、ガーティにエミリー・ファーサイスなど。
監督はシアン・へダー。
ネタバレ感想
2014年のフランス映画『エール!』のアメリカ版リメイク(オリジナルは未見)。
4人家族の中で1人だけ健常者であるルビーは、健気にも早朝3時に起きて学校へ行く前に家業の漁師を手伝い、両親が病院へ行くときも通訳として付き添い、家族に代わって電話をかけるのも彼女の役目。
一家にとって生活上欠かせない存在。彼女も一種のヤングケアラー。
家の中では独りだけ違うことに疎外感を感じるし、外では話し方が変だとからかわれる。
家族のために我慢し続けてきたルビーに、実家から離れた大学進学の話が持ち上がる。
彼女の歌を聞いたことがない家族は、歌が彼女にとってどれだけ大切なものかも分からないし、健常者が乗船しないと漁へも出られない。楽ではない暮らしの中、ルビーが抜ける穴は大きい。
家の犠牲になるなと言う兄、彼は妹を助けてやれないもどかしさを抱えているし、父もルビーが子供の頃から家族の代弁者として大人と渡り合っていることを分かっている。
一度は夢を諦めたルビーの背中を家族が押すラストに観ている方もホッとする感じ。
家族もルビーから自立し、ルビーも家族から自立する。
ルビー達のコンサートを見に行く家族、途中で音がなくなるシーンがあって、聴こえないとはこういうことだと分からせてくれます。
個人的にはベルナルド先生がツボでした。好きだわ〜、あのキャラ♪