今月からNetflixで配信の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、第78回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で銀獅子賞受賞他あちこちの賞レースで高評価なので、楽しみにしていたのをようやく見ました。
期待を裏切らない、観賞後じわじわ来る作品でした。
劇場のIMAXとかで観られると最高だったのですが、配信でおかわりしまくります。
The Power of the Dog 2021年米/英/ニュージーランド/カナダ/オーストラリア 127分
ストーリー
1920年代半ばのモンタナ州。弟ジョージと共に大牧場を経営するフィル・バーバンク。一見粗野なフィルは、イェール代を卒業したインテリで、カリスマ性があり人気があった。フィルと反対で地味なジョージが未亡人のローズと結婚したことで兄弟の関係に歪みが生じていく。ローズが気に入らないフィルは露骨に態度に表し、そんなフィルの態度にローズの神経が蝕まれていく。学校が夏休み中に入ったピーターをフィルが連れ回すことにも不安を覚えるローズだった。
キャスト
フィル・バーバンクにベネディクト・カンバーバッチ、弟のジョージに『ジャングル・クルーズ』でヨアヒム王子だったジェシー・プレモンス、ジョージと結婚するローズにカーステン・ダンスト、この2人実生活でも夫婦なんですよね。
ローズの息子ピーターに『X-MEN:ダーク・フェニックス』のナイトクローラーのコディ・スミット=マクフィー。
他『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジー、『ジョーカー』のフランセス・コンロイ、キース・キャラダインなど。
監督は『ピアノレッスン』のジェーン・カンピオン。
ネタバレ感想
題名の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、聖書の詩篇「私の魂を剣から、私の命を犬の力から救い出して下さい」から採られており「犬」は邪悪を意味しているとのこと。
大自然の中での人間模様。大勢で居ても孤独。孤独を埋めるために誰かと結びつきたいと思う。
しかし相手の本質をよく見極めないと、間違えると命取り。
自分から弟を奪ったローズに、自分と同じ孤独を味わわせるためなのか、ピーターの世話を焼き始めるフィル。
昔の自分の面影をピーターに重ねたのかもしれません。
男らしさと強さを前面に出し、牧童たちから慕われているフィルだけれど、実は人には言えない秘密を抱える孤独なインテリ。
逆に、最初は繊細でおとなしいのかと思っていたピーターは、柔ではなく芯の強さと冷酷さを持っています。
ピーターが炭疽病の牛を探しに行った理由に気づいた時、彼が父の教えどおり「障害物を取り除いた」ことが分かります。
「父が亡くなってから、母の幸せだけを願った、自分が母を守らなければ、誰が守る?」という冒頭のセリフを噛み締めるラスト。
傲慢で嫌な奴だったはずのフィルが憐れで。病院へ向かう前にロープを手にした時、自分の身に何が起こったのか、どんな未来が待っているのか理解したはず。
そして、ピーターの父親は本当に自分で首を吊ったんだろうかという疑惑が頭をよぎって終演。
余韻で深読みが止まりません。
ニュージーランドの風景も演技も素晴らしく、今年のオスカーノミネーションが楽しみだなぁ〜♪
録画出来る様にしておかないと!