宇宙版地獄の黙示録とも言われている『アド・アストラ』観ました。宇宙の映画なのでIMAXで観ようかとおもったのですが時間が悪くて。でも宇宙ということが重要なのではなかったような。
AD ASTRA 2019年米 123分
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あらすじ
題名の”アド・アストラ ”はラテン語で、”to the stars”(星に向かって)だそう。
宇宙飛行士として英雄と言われている父親。その父は30年前に地球外知的生命体を探す”リマ計画”に抜擢され、海王星へと旅立ち16年後消息を絶った。尊敬する父にならい宇宙飛行士となったロイ。ある日サージという現象が起こり、宇宙軍に呼び出されたロイは父親が生きていて、サージの原因は父親だと聞かされる。サージを阻止するため父を探す旅に出るロイ。
設定が近未来なので、宇宙軍があり、火星にも基地があり、一般人も月旅行が出来る時代。旅客機の様にロケットが月へ飛ぶ、『2001年宇宙の旅』を思い出しますね。ただまだ月は開拓中なのか、資源を巡って襲ってくる輩が居るあたりいつの時代も人は変わらないですね。
いろんな映画の要素が入っていると言われている様ですが、どうしても見たことがある様な光景が出てきますよね。それも映画本編には大して重要ではないです。
キャスト
ロイにブラッド・ピット、父親にトミー・リー・ジョーンズ、父の友人にドナルド・サザーランド、火星基地の所長ヘレンにルース・ネッガ、ロイの恋人にリブ・タイラーなど。
監督はジェームズ・グレイ、製作はもちろん”PLAN B”。
ネタバレ感想
個人的には『地獄の黙示録』のカーツ大佐に父親を、カーツ暗殺指令を受けたウィラード大尉にロイを重ねて観てしまいました。
『地獄の黙示録』は大佐を探しに行く過程で、悲惨で狂気な戦争の様子を見ることによって大尉自身も気持ちが揺らいでくるし、大佐がなぜジャングルの王の様になってしまったのかも分かるストーリーでした。
この映画も確かに父親のところへ辿り着く前に、火星へ向かう途中動物に襲われた宇宙船と遭遇してクルーが襲われたり、密航した船のクルーに襲われ、結局一人で海王星へ向かうことになったりと悲劇は都度起きるのですが、あまり悲惨さを感じない。ロイが感情を殺しているからなのか、観ている方も冷静に受け止めました。
そんな冷静さが少しづつ崩れてきて、父親と対面した時に感情が揺さぶられます。
妻と息子を残してきたことに後悔はなかったという父。
自分の中に父の性格を見たロイは彼を許し地球へ連れ帰ろうとしますが、父親にとっては元々地球にも家庭にも自分の居場所はなかったのでしょう。帰るのを拒絶した父親の気持ちもわかる気がします。
ロイにとってはここで気持ちの切り替えが出来たんだと思います。
あの状況で無事に帰れるとは思わなかったけど、まるでスーパーマンの様に船にたどり着いて、流石に突っ込み入れずには入られませんでした。
正直なところ、他にも火星で宇宙船に乗り込むシーンではそれ無理でしょうと思ったし、安静室という全く安静できない部屋にも突っ込み入れてましたけど。(この部屋は意図的な演出でしょうけれど)
『ゼロ・グラビティ』は心音と息遣いで観ている方もドキドキしましたが、この映画は全体的に静かでした。
結局、宇宙の様な深い孤独と自分の中の孤独と向き合う話かなと思いました。
ほぼ一人芝居の中のブラッド・ピットの抑えた演技はとても良かったです。
他のキャストも出番が少ないのに印象的でした。
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コメント
ホントに静かな映画でしたね。
宇宙物はつっこみどころも多いけれど、最近はSWのような完全なファンタジー系でなく、「いつかこういうことも起こるかも」と思えるようなリアリティ溢れる作品が増えましたよね。まぁあまりスカっとはしませんが(笑)。
ブラピはこういうタイプの作品に出ると、アクションものとは別人ですね。
プロデュースもする人なので、こちらの方が本人にとってはやりたい役なのかもしれません。
choroさん
近未来な感じが面白くもあったのですが、わざわざ宇宙を舞台にしなくても良かったのではという意見も分かりました。
最初はもっと若い俳優でも良かったのではとも思いましたが、ブラピ渋かったです。
「地獄の黙示録」か、なるほどね~。
SFスペクタクル作品だと思うと寝ますよね。
宇宙という舞台はどうでもよくて、あくまでブラピの心情を描いた作品なのはわかるけど、もう少しは盛り上がってくれてもいいんじゃないかなあ、って。
場所も海王星って「遠すぎ」というレベルを超えているので、説得力に欠けてしまいました。
ブラピだけを楽しむ作品ていうことかな?(笑)
どらごんづ★さん
冬眠しなくて良いの?って思っちゃいましたね。
そんなにハイテクになってる感じもなかったし。
刺さる人には刺さる映画だったみたいなんですけどね。
面白くないかと言われたら、結構よくできた映画だと思うのですが、その辺にいる親子の確執を宇宙の果てで見せる必要は何?って突っ込み入ってしまって、よくできてるけど珍品というところに落ち着いてしまいました。でっかい器の真ん中にパスタやラーメンをちょこっと乗っけたという感じでしょうか。パスタはおいしいんですけど、そんなにでかい器に何の意味が?って思っちゃいました。読みが浅いのかなあ、自分。
einhornさん
そう言われてみれば、そうなのかも〜。
しかしこれが宇宙の果てまで行かなかった場合、果たして映画になったのだろうか、って気はしますね。