最期のブルース 『マ・レイニーのブラックボトム』(ネタバレ感想)

最期のブルース 『マ・レイニーのブラックボトム』(ネタバレ感想)

チャドウィック・ボーズマン繋がりで、Netflix制作の『マ・レイニーのブラックボトム』を見ました。
舞台劇の様なワンシチュエーションでの登場人物達の濃厚な掛け合い。
現代にも通じるアフリカ系アメリカ人の魂の叫びが詰まってました。

MA RAINEY’S BLACK BOTTOM 2020年米 94分

Advertisement

ストーリー

1927年。シカゴの録音スタジオにバンドメンバー達が集まる。”ブルースの母”と呼ばれる人気歌手マ・レイニーのバックバンドである。メンバーのひとり、トランペット奏者レヴィーは野心に燃え成功を夢見ているが、壮絶な過去を持っていた。遅れて到着したマ・レイニーは白人のプロデューサーらと主導権を巡って激しく対立し、レコーディングはなかなか始まろうとしなかった。

キャスト

マ・レイニーには『フェンス』のヴィオラ・デイヴィス、レヴィーにチャドウィック・ボーズマン、2人ともオスカーノミネートの大熱演。
トレドにグリン・ターマン、ドラッグにマイケル・ポッツ、カトラーにコールマン・ドミンゴ、ダッシー・メイにテイラー・ペイジ、ジョニー・コイン、アーヴィンにジェレミー・シェイモス、シルベスターにデューサン・ブラウンなど。
監督はジョージ・C・ウルフ、プロデューサーにデンゼル・ワシントン

ネタバレ感想

フェンス』の原作者のオーガスト・ウィルソンの戯曲の映画化。
マ・レイニーは実在の人物で、”ブルースの母”と呼ばれたアフリカ系アメリカ人のシンガー。
南部で圧倒的な人気があったマ・レイニーも、北部では白人のプロデューサーやマネージャーがいなければ活動できず、自分を利用して金儲けはするが、決して自分に敬意を払わないことを分かっていて苛立っている。
ヴィオラ・デイヴィスは一見では彼女と分からない風貌で、白人支配に対抗するかの様に高慢で威圧的、常に喧嘩腰の態度、自分という存在は唯一無二であることを主張。ブルースは魂の叫びであり、白人には決して歌えないという自信も持っています。
チャドウィック演じるレヴィーは逆に、白人にウケるアレンジ、作曲をして売れようとします。媚を売っている様に見せて、相手を利用するが決して心は許さない。それが幼い頃の経験から身につけたと告白するシーンが圧巻。”面従腹背”していたつもりが最後にレヴィーを追い詰めてしまうところが辛い。
圧倒的にヴィオラ・デイヴィスチャドウィック・ボーズマンの芝居で魅せる映画。
背景にはアフリカ系アメリカ人のルーツ、這いあがろうとしても押さえつけられる現状があり、エンディングもプロデューサーに騙され安く買い取られた歌を白人がレコーディングするシーンで終わる。
忘れたり、許すことができない歴史の一部を描いた作品。

Netflixでは「マ・レイニーのブラックボトムが映画になるまで」という制作過程の30分程の映像も見られます。

 

Advertisement

 

映画の旅カテゴリの最新記事