『サブスタンス』を観ました。
起こることはあり得ないんだけれど、周囲からの圧力や心情はリアルなのでやるせない。
The Substance 2024年米 142分 R15+
ストーリー
50歳になった元人気スターのエリザベスは、年齢を理由にレギュラー番組から降板させられる。落ち込んでいる彼女が手にした最先端の再生医療“サブスタンス”。若返ったエリザベスは、“スー”としてエリザベスの後の番組のオーディションを受け採用。瞬く間にスターの階段を駆け上っていく。サブスタンスは、エリザベスとスーの肉体を1週間ごとに切り替えなければならないというルールがあったが、エリザベスに戻りたくないスーは…。
キャスト
エリザベス・スパークルに『ゴースト/ニューヨークの幻』のデミ・ムーア、エリザベスが生まれ変わったスーに『憐れみの3章』のマーガレット・クアリー、ハーヴェイに『ライトスタッフ』のデニス・クエイドなど。
監督は「サンドマン」のコラリー・ファルジャ。
ネタバレ感想
ボディ・ホラー。
『TITANE チタン』と比べている感想を見かけましたが、ちょっと方向が違うかな。
再生医療と言っても、そんな再生あるわけない(アカデミー賞授賞式で司会のコナン・オブライエンがパロってたアレ)!しかし、その「サブスタンス」を手にしたことで起こることがリアルすぎて怖いのですよ。
ミソジニーの代表のようなハーヴェイや世間の評価に抗えないエリザベス。
同世代の自分から見ると十分綺麗なのですが、彼女自身が納得できない。
面白いのは、スーも自分なのにスーになるとエリザベスの事が理解できず、エリザベスはスーが理解できない。
お互いのことを非難し憎み最後には殺し合う、どちらも自分なのに。
憎むべきは自分ではなかったんですけどね。
終盤はずっと、ああこういう終わり方か、と思えば、なかなかしぶとくて、えっ、まだやる、え〜、それでもまだやる〜という感じで、往生際が悪いというか諦めないというか、終わりが見えなくて。
第三者(観客)から見ると悪い方にしか進まないと思うのに、当事者は必死なんですよね。
加えて描写がね〜、注射器とか苦手な人は辛いですね。
結構目を逸らした画面ありましたし、かなりなゴアでクライマックスは血の海です。
クロネンバーグとは違って生々しい。
スーのダンスが朝のフィットネス番組にしては『アノーラ』のセクシーダンスの様に見えるとか、家のリフォームを自分ができるわけないとか、夜9時の放送番組でダンサーが胸出しとか、ツッコミどころはありつつ、「サブスタンス」の内容や受け渡し方法、ウォーク・オブ・フェイムを使った演出とかは面白かった。
今回のオスカー候補作、いろんな方向の凄さを観せられてる気がします。