人は誰かを気にかけずにはいられない 『ザ・ホエール』(ネタバレ感想)

人は誰かを気にかけずにはいられない 『ザ・ホエール』(ネタバレ感想)

ザ・ホエール』を観ました。
結局アカデミー賞の授賞式を観ていないのですが、ブレンダン・フレイザーの復活と主演男優賞受賞おめでとう!

 

The Whale 2023年米 117分

 

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ストーリー

恋人を亡くして以来、過食と引きこもり生活を続けたせいで健康を損なっしまった40代のチャーリー。親友で看護師のリズに助けてもらいながら、オンライン授業の講師として生計を立てているが、心不全の症状が悪化しても病院へ行くことを拒否し続けていた。自身の死期が近いことを悟った彼は、8年前に恋人と暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた娘エリーに連絡するが、彼女は学校生活や家庭や全てに怒りを抱えていた。

キャスト

チャーリーに『ゴッド and モンスター』のブレンダン・フレイザー、親友のリズに『ザ・メニュー』のホン・チャウ、娘エリーにセイディ・シンク、元妻メアリーにサマンサ・モートン、宣教師のトーマスに『ジュラシック・ワールド』のタイ・シンプキンス
監督は『レスラー』『ブラックスワン』のダーレン・アロノフスキー

ネタバレ感想

鑑賞後1日経ってから、しみじみ哀しみが襲って来ました。

舞台劇の映画化で、ほぼアパートの一室で展開する話。
マスターベーションしている巨体の男チャーリー、動悸が激しくなり息ができなくなっているところへ、たまたまトーマスが布教活動に。死にそうなのにトーマスにある文章を読み上げてくれと頼むチャーリー。トーマスが読むと呼吸が落ち着き危篤状態を脱します。
その文章が何なのか、誰が書いたのかは最後に分かります。

過食と不摂生から肥満症となり血圧も常人の倍以上、親友で看護師のリズから治療を受けないと週末には死んでしまうと言われながらも病院を拒むチャーリー。そんな彼に怒りながらも献身的に世話をするリズ。なぜそこまでと思ったら、彼女もチャーリーと同じ後悔を抱えていました。
残されたわずかな時間で娘との絆を取り戻そうとしますが、静かに荒んでいるチャーリーと反対に、激しい怒りを周囲にぶつけずにはいられない娘エリー。エリーの怒りの原点は8歳の時に母と自分を捨てて出ていったチャーリー。
怒りながらもチャーリーの元を訪れるエリーと、何とか彼女を救いたいチャーリー。

恋人を死から救えなかった後悔を抱えて生きるのは辛すぎて、過食して早く死にたい様に見えるチャーリー。
妻と娘を捨てた罪を償いたくて、自分の生活は犠牲にしてお金を残すことで娘へ償おうとします。
死ぬ前に1つぐらい正しいことをしたいというけれど、償いたいなら生きるべきだと思う。
分かっていても生き続ける強さは残ってないチャーリーも悲しいし、兄の次に親友まで亡くすことになるリズも悲しいし、8年ぶりに再会した父を再び亡くすエリーも悲しい。

最後、エリーに大切なことを伝え、死を目前にしても晴々としたようなチャーリー。
自分を許すことが出来たのなら良かった。

 

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