1ヶ月半ぶりの新作鑑賞は『スペンサー ダイアナの決意』。
Spencer 2021年英/チリ/独/米 117分
ストーリー
1991年のクリスマス。独り車を飛ばしてエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに向かうダイアナ。そこでは王族たちが集まり3日間のクリスマス休暇を過ごすのが恒例行事。チャールズ皇太子との夫婦関係は冷え切り、一緒に過ごすことが苦痛でしかないダイアナを、旧知の衣装係マギーや料理長のダレンが助けようとするが、息子たちと過ごす時間を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなく、彼女の精神は限界に達していた。
キャスト
ダイアナ皇太子妃にクリステン・スチュワート、第94回アカデミー賞主演女優賞ノミネート。
チャールズ皇太子にジャック・ファーシング、グレゴリー少佐にハリー・ポッターシリーズのティモシー・スポール、料理長のダレンに『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』のショーン・ハリス、衣装係のマギーに『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンスなど。
監督は『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のパブロ・ラライン。
ネタバレ感想
20歳でチャールズ皇太子と結婚し、36歳で亡くなったダイアナ元皇太子妃。
こちらでは上映がないけれど、現在『プリンセス・ダイアナ』というドキュメンタリー映画も上映中。
この映画は冒頭で、「実話に基づいた寓話」というテロップが入ります。
1991年のクリスマス休暇の3日間のお話。
王室のクリスマス休暇の様子を見るだけでも興味深い。
まず軍隊によって運び込まれる食材。
到着したゲストは必ず体重を測り、この休暇を楽しんだ証に帰る時には1kg以上太っていなければならない。
専属の衣装係によって3日間の衣装はあらかじめ用意されている。
当然食事を含め全ての予定で、女王陛下より前に到着していなければならない、などなどなど。
ガチガチに決められた生活は、皇室の生活に慣れていない人にはたまらないでしょう。
元々異端者の立場な上に、自分との結婚に愛がなかったことを知った後の、夫の家族との3日間。
おまけに夫からのクリスマスプレゼントは愛人に送ったものと同じ真珠のネックレス(真珠の玉がめちゃめちゃ大きい)。
決められた服も着ない、食事の席には間に合わない、無理して食べても後で吐きだす。
ストレスから自傷行為に走るダイアナ、本当にこういう精神状態だったろうなと思わせるクリステンの演技。
ダレンの「みんな、(ダイアナに)なんとか耐えてくれと思っている」という言葉も、実際にその通りだろうと思わせます。
嫌な人は誰も出てこない、みんなダイアナを心配している、それが余計にプレッシャーになる。
廃墟となった実家、王に殺された王妃アン・ブーリンなどメタファー的なものも使い、ダイアナが離婚を決意するまでの心の葛藤が描かれています。
3日間の話なのに彼女の人生がわかる様なクリステンの熱演、ホーキンス、スポール、ハリスらベテラン勢のさりげない演技に引き込まれました。