新たな視点で描くゴッホの晩年『永遠の門 ゴッホの見た未来』(ネタバレ感想)

新たな視点で描くゴッホの晩年『永遠の門 ゴッホの見た未来』(ネタバレ感想)

2本目は、世界からほぼ1年遅れで公開の『永遠の門 ゴッホの見た未来』。画家フィンセント・ファン・ゴッホの晩年の伝記ドラマですが、監督によると必ずしも史実に沿ったストーリーではなく、独自の解釈で撮られているそう。

AT ETERNITY’S GATE 2018年英/仏/米 112分

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ストーリー

出会ったばかりのゴーギャンに勧められ、パリから南仏アルルへと移ったゴッホの”黄色い家”の生活、ゴーギャンとの共同生活の始まりと終わり、耳切り取り事件の後のサン=レミの療養所の後、オーヴェルで迎えた死まで。

ゴッホについて

正直なところ彼の人生にも絵画にもそれほど詳しくなくて、ベネディクト・カンバーバッチがゴッホを演じた2010年のTV映画「ゴッホ 真実の手紙」を見たのみ。(ソフト化を強く希望)
ゴッホが実際に残した手紙を台詞として朗読する形式の映画の中のゴッホは、精神的に脆く常に迷っていて弱々しいイメージでした。

キャスト

ゴッホにウィレム・デフォー、この演技でヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞、アカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブドラマ部門男優賞ノミネートなど。
弟テオにルパート・フレンド、ゴーギャンにオスカー・アイザック、ポール・ガシェ医師にマチュー・アマルリック、聖職者にマッツ・ミケルセン、ジヌー夫人にエマニュエル・セリエ、レイ医師にウラジミール・コンシニ、他『戦火の馬』『預言者』のニエル・アレストリュプヴァンサン・ペレーズなど。
監督は画家でもある『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベル

感想

ゴッホについての映像化作品は多くて、それぞれで解釈があるのでしょうが、今回の映画では、同じ様に貧しくて精神的に危ういけれど、迷いなく自分の使命を語る強さがある。神なる自然の中に宿る美は一瞬のものだから、人々にその美を伝えるために、永遠に残る絵画にする事が彼の使命だという主張が何度も繰り返されて、美の伝道師としての信念を持っているところが、私の持つイメージとは違っていたかな。(生まれる時代が早すぎたとも言わせてるし^^;)

イメージとは違っていても、それほどセリフや説明がある映画でもないのに、その時々の心情がわかるウィレム・デフォーの演技は流石。顔のアップが長く多いからか、他のキャストも印象深いです。

自然の描写は美しいし、ゴッホの絵画に詳しい人は、絵と同じ構図だったりするシーンも多くて見るのが楽しいかも。
ゴッホの視点を表現するために画面下半分がボヤけていたり、とにかくカメラが揺れるので、酔いやすい自分には辛かったですね。あと、実際の台詞の直後にゴッホの頭の中で反芻された台詞が繰り返されたりと、演出にちょっと戸惑いましたね。

戸惑うというとやはり死因。ゴッホは自殺だと思っていたのですが、はっきりはしていないのですね。ただこの映画での少年に殺されたというのはなんだか悲しすぎてね〜。

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