中身が濃い割にさらっと観られます 『パラレル・マザーズ』(ネタバレ感想)

中身が濃い割にさらっと観られます 『パラレル・マザーズ』(ネタバレ感想)

自分には久しぶりの、ペドロ・アルモドバル監督の『パラレル・マザーズ』を観ました。
ただの取り違えの話ではなかったですね。

 

Madres paralelas 2021年スペイン/フランス 123分 R15+

 

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ストーリー

フォトグラファーのジャニスは考古学者のアルトゥロに、スペイン内戦で亡くなった親族の遺骨発掘について相談したことをきっかけに愛しあうように。やがて既婚者であるアルトゥロの子を妊娠したジャニスは、シングルマザーとなることを決意。出産を控え入院した病院で、ジャニスは17歳の妊婦アナと出会い、彼女もひとりで出産すると知り仲良くなる。やがて2人は同じ日に女の子を出産し、再会を誓い合って退院する。その後、娘と対面したアルトゥロから“自分の子とは思えない”とDNA検査を要求されたジャニスは、腹を立てたものの気になって検査したところ、実の子ではないという結果が届き…。

キャスト

ジャニスにペネロペ・クルス、第94回アカデミー賞で主演女優賞にノミネート。
アナにミレナ・スミット、アナの母にアイタナ・サンチェス=ギヨン、ジャニスの親友エレナにロッシ・デ・パルマ、ジャニスの祖母にフリエタ・セラーノ、アルトゥロにイスラエル・エルハルデ、ちょっとハビエル・バルデムに似ている。
監督は『オール・アバウト・マイ・マザー』のペドロ・アルモドバル

ネタバレ感想

アルモドバル監督作、2002年の『トーク・トゥ・ハー』は見たと思うけど、その後の作品を見た記憶がない。
避けているわけではないのだけれど、なんとなく見逃していて、久しぶりの鑑賞。

同じ病院で同室になった2人の母親が、たまたま出産日も同じになり、同じく女の子を出産。
赤ちゃんの取り違え話は時々あるけれど、それだけに収まらず、スペイン内戦時に殺害された先祖の遺骨を掘り起こすという国民の悲願についても描かれます。

自分の子供じゃないと分かった時に、アナには真実を伝えず自分の子として育てる決断をするジャニス、負い目もあってか母親の様にアナの面倒をみるうちに自然と一線を超えてしまう。
アルトゥロに嫉妬していたはずが、ジャニスから子供がアナの子供だと伝えられた途端に母になるアナ。
ドロドロな展開になるのかと思えば、子供の返還後はあっさり収束、なんだか丸く収まります。
最後はジャニスたちの先祖の遺骨が発掘されたところで終わります。

アナの両親との関係や子供の父親についてもかなりシリアスな内容なのに重苦しくないのが不思議な感じ。
スペイン内戦の爪痕も絡めてくるあたり、今の世界情勢からも興味深いです。

 

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