娘と母が同い年だったら 『秘密の森の、その向こう』(ネタバレ感想)

娘と母が同い年だったら 『秘密の森の、その向こう』(ネタバレ感想)

燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の『秘密の森の、その向こう』を観ました。
情念がこもった映画かと思っていたら、さりげない生活に起こる不思議で可愛らしい映画でした。

 

Petite maman 2021年仏 73分

 

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ストーリー

大好きだった祖母を亡くした8歳の少女ネリーは、両親に連れられ祖母が住んでいた森の中の一軒家を片付けに来る。
少女時代をこの家で過ごした母は何を目にしても祖母との思い出に胸を締め付けられ、ネリーを残して家を出て行ってしまう。残されたネリーは森を散策するうちに、母マリオンと同じ名前を名乗る同い年の少女と出会い親しくなる。
マリオンに招かれて彼女の家を訪れると、そこは昔の祖母の家だった……。

キャスト

ネリーにジョセフィーヌ・サンス、マリオンにガブリエル・サンス、2人は双子の姉妹だとか、よく似ていると思った。ネリーの母に『女の一生』のニナ・ミュリス、マリオンの母に『サガン 悲しみよこんにちは』のマルゴ・アバスカル
ネリーの父に『グッバイ・ゴダール!』のステファン・ヴァルペンヌ
監督・脚本は『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ

ネタバレ感想

施設で少女が全ての部屋の老人に別れの挨拶をしている。
亡くなった祖母に最後の挨拶ができなかったことを悔やんでいるらしい。
家族で祖母の家の片付けにやってきていたが、母は悲しみに耐えられなくなり出て行ってしまう。
祖母の家の裏庭にある、母が子供の頃作ったという小屋を見に行ったネリーは、そこで同い年の少女と出会う。
母と同じ名前のマリオンという名の少女の家に行ったネリーは、そこが昔の祖母の家であることに気づく。

特別なことは何もないのだけれど、裏庭へ出たら20数年前にタイムスリップ。
昔の祖母の家であることに気づき、寝ている祖母を見て驚いて帰ってしまうけれど、翌日裏庭へ行くとやはりマリオンが居て、一緒に楽しく過ごす。若い祖母とも普通に接するネリーが、8歳とは思えないほど落ち着いている。
しばらくしてマリオンに真実を打ちあけるのだけれど、マリオンも落ち着いて受け止め、最後の日を2人で楽しく過ごして別れる。祖母にも別れの挨拶をして、20数年後の祖母の家に戻ると、母が戻ってきている。

少女2人が楽しそうに遊んでいるのを見ているだけでも微笑ましくて。
少女時代の母や若い祖母と出会ったネリーはなんだか嬉しそうだし、ネリーが自分の娘だと聞いたマリオンも、自分が31歳の時に母が死ぬという現実を受け止めている。
それぞれ悩みもあるし、一緒に過ごすことができるのも束の間ということもわかっていて、その束の間を十分楽しもうとしているところが凄く良い。
燃ゆる女の肖像』とは全く違う、こういうさりげなく爽やかな映画も味があって良かったです。

 

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