生まれてきてくれてありがとう 『ベイビー・ブローカー』(ネタバレ感想)

生まれてきてくれてありがとう 『ベイビー・ブローカー』(ネタバレ感想)

ソン・ガンホも好きな俳優さんなので、カンヌ国際映画祭で男優賞を取った是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』を観ました。

 

BROKER 2022年韓国 130分

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ストーリー

ある雨の夜、教会にある赤ちゃんポストの前に赤ん坊を置き去りにする母ソヨン。
その赤ん坊を車に乗せるサンヒョンとドンス。ブローカー組織を検挙しようと見張っていた刑事スジンが尾行すると、車は古びたクリーニング店へ。
翌朝、思い直して教会を訪れたソヨンは、赤ん坊は居なかったと告げられ警察に連絡しようとしたところ、ドンスにクリーニング店へ案内される。
2人がブローカーであると知ったソヨンは、受け渡しに自分も連れて行く様求め、奇妙な旅が始まる。

キャスト

サンヒョンに『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホ、ドンスに『新感染半島 ファイナル・ステージ』のカン・ドンウォン、ソヨンにイ・ジウン、スジン刑事に『空気人形』のぺ・ドゥナ、イ刑事にイ・ジュヨン、ヘジンにイム・ソンスなど。
監督は『万引き家族』の是枝裕和

ネタバレ感想

是枝監督の映画は『三度目の殺人』『万引き家族』しか実は見ていなくて、今作が3作目。
2004年の『誰も知らない』の頃から評判は知っているし、話題作だから見ようと思いつつも、あまり見たくないリアルな内容を突きつけられそうなのが怖くて腰がひけていました。

本作は日本の実情と似ているとはいえ韓国映画なので、邦画と比べると身につまされる感じが少なくて見やすかったですね。
そして役者の演技が上手い。すんなり世界に入り込めました。

最初は、ソヨンは若くて子供を育てられない母親、サンヒョンとドンスは金目当てに子供を売り飛ばす悪人かと思っていました。
しかしそんなシンプルな理由だけではなく、ドンスは親に捨てられて養護施設で育った過去があり、ソヨンも頼る人がいない身の上、サンヒョンも妻子と別れて孤独な身。(「イカゲーム」のギフンを思い出しました)
ブローカー2人に母親と赤ちゃん、そして養護施設から脱走したヘジンも加えた一行の旅路は、不思議と家族の様になっていきます。
ベイビー・ブローカー逮捕に固執するスジン刑事にも物語がありそう。(刑事コンビが張り込み中常に何かを食べているのが可笑しかった)

実はソヨンはヤクザの愛人で、その赤ちゃんの父親を殺して逃げている身、殺人犯の子供にしたくなくて、幸せな家庭で育ってほしいと願っていました。刑事だけでなくヤクザからも追われる身になったことで、それぞれが賭けに出ます。

結局ソヨンは自首し、スジンが子供を預かりソヨン達が会いに来るのを待っているラスト。
ちょっと甘いけど、こういう優しい世界であれば良いなと思わせられました。

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