書きたいのは【虚】か【実】か 『八犬伝』(ネタバレ感想)

書きたいのは【虚】か【実】か 『八犬伝』(ネタバレ感想)

NHK朝ドラ「らんまん」のヒロインが入れ込んでいた滝沢馬琴。
その馬琴を役所広司が演じるとなれば、観ないわけには行きません。

八犬伝 2024年日本 149分

 

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ストーリー

人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。北斎は馬琴のもとを訪れる度に話の続きを聞き、その内容を絵にした。その絵が馬琴の創作意欲を刺激し、連載は馬琴のライフワークとなった。
悪が蔓延る時代があれども最後は正義が勝つという話を書きながら、馬琴の人生は順風満帆とはいかなかった。

キャスト

滝沢馬琴に役所広司、葛飾北斎に内野聖陽、馬琴の妻・お百に寺島しのぶ、馬琴の息子・宗伯に磯村勇斗、宗伯の妻・お路に黒木華、渡辺崋山に大貫勇輔、鶴屋南北に立川談春、市川團十郎に中村獅童、尾上菊五郎に尾上右近
八犬伝パート:伏姫に土屋太鳳、犬塚信乃に渡部圭介、犬川壮助に鈴木仁、犬坂毛野に板垣李光人犬飼現八に水上恒司犬村大角に松岡広大犬田小文吾に佳久創犬衛親兵衛に藤岡真威人犬山道節に上杉柊平、浜路に河合優実、里見義実に小木茂光、玉梓に栗山千明、扇谷定正に塩野瑛久など。
監督・脚本は『鋼の錬金術師』の曽利文彦

ネタバレ感想

監督がNHKの人形劇「新八犬伝」を楽しみにしていたと聞き、そういえば自分が八犬伝を知ったのもその人形劇だった様な〜、監督と世代も一緒だし( ̄∀ ̄*)イヒッ
しかし本作は「南総里見八犬伝」がベースではなく、山田風太郎の「八犬伝」が原作。
メインは滝沢馬琴の生涯と葛飾北斎との友情のお話。
馬琴が書いた「八犬伝」の物語【虚】のパートと馬琴の人生【実】のパートが交互に描かれますが、どちらのパートも面白い。
【虚】のパートの派手な物語に【実】のパートが喰われそうなものですが、負けないところが役所広司内野聖陽の力、
創作者どおし気が合う二人の間に入れない、妻のお百が憎まれ口ばかりなのも分かる気がします。
最後の言葉が「チクショー」だったのが悲しい。

馬琴が28年かけて書き続けた物語、目が見えなくなった後は、漢字を知らない嫁に字を教えながら口述筆記してもらって完成させたというのもすごい話だけれど、中盤での鶴屋南北との虚実についての話の行方が後半の核となり、物語を描くことへの気力を支えている理由となっているところに引き込まれました。
虚である物語を完成させ実にしたという人生、お見事でした。

 

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