厨二魂が揺さぶられる美しいエンタメ『SHADOW/影武者』(ネタバレ感想)

厨二魂が揺さぶられる美しいエンタメ『SHADOW/影武者』(ネタバレ感想)

チャン・イーモウ監督作というだけで内容も知らずに観た『SHADOW/影武者』、水墨画の様な美しい構図・セット・衣装の中、戦いのシーンやガジェットが相変わらず厨二魂全開で、切なさと美しさと面白さが同居してました。

影/SHADOW  2018年中国 116分 PG12

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チャン・イーモウ監督は2008年北京オリンピックの開会式&閉会式の演出も任された巨匠で、歴史アクションものとしては『HERO』(2002)や『LOVERS』(2004)、最近ではマット・デイモン主演の『グレートウォール』(2016)もありました。
今作は「三国志」の「荊州争奪戦」をアレンジした作品。

ストーリー

沛(ペイ)国の王に重臣の都督(トトク)が炎国の楊(ヤン)将軍に会いに行ったと知らせが入る。沛国は過去に炎国との戦に負け、境州という領土を炎国に奪われている。都督は王に無断で将軍に手合わせを申込み、境州奪還をすべきと進言するが、炎国との休戦状況を維持したい王は都督を無官にする。
実は王宮に居たのは都督の影武者で、本人は1年前の刀傷が悪化して病に罹っていた。都督は影武者に、楊将軍に勝てば自由の身になり幼い頃に別れた母親と暮らせると言い、影武者を鍛える。

キャスト

都督と影武者”境州”の一人二役を演じるダン・チャオ
逞しい影武者の役を演じてから、20kg落として病気の都督を演じたそうで、パッと見ただけでは同一人物には思えないくらいでした。
都督の妻役にスン・リー、見たことある気がすると思っていたら、サントリー烏龍茶のCMに出ていたみたい。ダン・チャオとは実際に夫婦だそうです。
沛国王にチェン・カイ、王の妹にクアン・シャオトン、家臣にワン・チェンユエン、楊蒼にフー・ジュン、『レッドクリフ』(2008)では趙雲役でした。息子の楊平にウー・レイなど。

感想

都督の妻が困っている、から始まる冒頭に、まず、ん?となった後場面が変わるので、ちょっと混乱するかも。
モノクロかと思うほど抑えた色彩に、ほとんど雨のシーン。
墨染の衣装だったり、衝立が墨字の書だったりとこだわった様式美。
グレートウォール』の時の色彩を豊かに使いこなした映像とは対照的、こちらの方が印象的かも。
美しい主人の妻に魅かれる影、一途な影に情がうつる妻、2人が気になる都督。
弱気な遊び人かと思えば意外に策士な王と都督とのスリリングな駆け引き。
全く違う2人を演じきったダン・チャオ、スン・リークアン・シャオトンの可憐さなど、ストーリーも演者も見どころは沢山あるけれど、やはり最大の見せ場はアクションシーンでしょう。

グレートウォール』のバンジージャンプ攻撃も有り得なかったけど、刀相手になぜ傘で練習しているのかと思えば”アンブレラ・ソード”って!回したら刃が手裏剣の様に飛ぶ優れ物だけど、回転する傘に乗って坂道を進むとか、アイデアは面白いけど絶対怪我するでしょ。映像美と格好良さと面白さが一つになった不思議。

終盤の怒涛の展開を経て、ようやく冒頭のシーンへと戻るところが上手いし、そこで終わらせ、その後の展開を観客に委ねるところも良かった。

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