モンスターは出てこないけど、人間こそがモンスターでした 『ナイトメア・アリー』(ネタバレ感想)

モンスターは出てこないけど、人間こそがモンスターでした 『ナイトメア・アリー』(ネタバレ感想)

ギレルモ・デル・トロ監督作『ナイトメア・アリー』を初日レイトショーで観ました。
欲望の果てに悪夢の小路に迷い込み、人生を狂わせる男のお話。

Nightmare Alley 2021年米 150分

 

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ストーリー

1939年のアメリカ。秘密を抱え故郷を後にしたスタンは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座と出会い、誘われて働き始める。ピートから読心術のテクニックを学んだスタンは、電流ショーをしていたモリーを連れて一座を後にし、2年後一流ホテルで金持ちを相手に読心術を使ったショーを披露し成功を収めていた。しかし、心理学者リリス・リッター博士にスタンのショーが読心術であることを見抜かれ…。

キャスト

スタンにブラッドリー・クーパー、モリーにルーニー・マーラー、カーニバルの座長クレムにウィレム・デフォー、ブルーノにロン・パールマン、ジーナにトニ・コレット、ピートにデヴィッド・ストラザーン、リッター博士にケイト・ブランシェット、キンバリー判事夫人にメアリー・スティーンバージェン、グリンドルにリチャード・ジェンキンス
ホルト・マッキャラニー、ポール・アンダーソン、クリフトン・コリンズ・Jrなど。
監督は『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ

ネタバレ感想

原作は、ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」、1947年に『悪魔の往く町』として映画化されているそう。

ギレルモ・デル・トロ監督といえば不思議なクリーチャーが出てくるダーク・ファンタジーのイメージですが、今回は人間のみ。ただその人間たちが一癖も二癖もあるというモンスター顔負けの曲者揃い。
一線を越えてしまった者が辿るのは、因果応報か破滅か。

冒頭、死体と分かるものを燃やすスタン。後にその死体が父親なのが分かります。
父親に傷つけられ、父の様になるまいと酒は飲まないと誓ったスタン。
酒を口にした途端、転落の一途。
欲さえ出さなければ、その才覚とカリスマ性で成功したであろうに、強欲さを捨てきれず一線を越えてしまう。
ただその一線までにも、スタンは二人殺しているので、因果応報ともいえます。

終盤になってくるとラストのオチの予想はつきますが、その結末に安堵するような、分かっていたかのようなスタンの姿が、我々観ている者も悪夢を見た様な気分にさせられます。
落ちていく陶酔の表情を浮かべるブラッドリー・クーパー、そこ知れぬ邪悪を感じさせるリチャード・ジェンキンス、ミステリアスで恐ろしいケイト・ブランシェットなど、モンスターは出なくても人間こそがモンスターでした。
そういえば、デル・トロ監督作って、一番のモンスターはいつも人間でしたよね。

 

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