第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞した滝口竜介監督の『偶然と想像』を観ました。
『ドライブ・マイ・カー』がとても良かったので、待ちきれず初日鑑賞。
今作は3つの短編から成るオムニバス映画。最初に監督の挨拶の映像もありました。
Wheel of Fortune and Fantasy 2021年日本 121分
ストーリー
第1話 魔法(よりもっと不確か)
撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子は、親友でヘアメイクのつぐみから、彼女が最近会った気になる男性と過ごした魔法の様な体験を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、芽衣子が向かった先は…。
第2話 扉は開けたままで
作家で教授の瀬川は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、セフレの奈緒に瀬川にハニートラップを仕掛けるよう頼み、瀬川と会う奈緒だったが…。
第3話 もう1度
高校の同窓会に参加するため20年ぶりに仙台へやってきた夏子。かつての親友に会えぬまま東京へ戻ろうとすると、駅前のエスカレーターで偶然親友とすれ違う。彼女の家へ招かれ話しをしているうちに、夏子は意外なことを聞かされ…。
キャスト
第1話:芽衣子に朝ドラ「エール」の古川琴音、つぐみに『スパイの妻』の玄理、朝ドラ「花子とアン」の中島歩。
第2話:瀬川に渋川清彦、佐々木に甲斐翔真、奈緒に森郁月。
第3話:夏子に占部房子、あやに河井青葉。
監督は滝口竜介。
ネタバレ感想
3話のオムニバス、どの話もドラマティックな偶然と、背景を想像させられる展開。
それぞれ内に抱え込んでいるものがある登場人物たち。
自分の浮気が原因で別れた元カレと再会し、彼だけでなく自分も傷ついていたことを自覚する芽衣子。
教授との会話で自分に自信が持てた矢先に大失態してしまう奈緒。
知らない者同士だったゆえに本心を打ち明けられた夏子とあや。
第1話で、飛び出した芽衣子を咄嗟に追いかけようとした元カレが、気になると言ってた女性ですかと部下に聞かれ、いや違うと答えたら、じゃあ追いかけたらダメでしょと部下からダメ出しされ我にかえるところが面白かった。
しっかり者の部下に普段からいろいろ相談していることが想像できます。
感情のぶつけ合いの口論が激しい1話、教授のキャラの意外性とあっけない幕引きの2話、お互い重荷がとれて爽やかに別れる3話と構成も良く、ちょっと良い気持ちで観終えるのだけれど、2話の最後で奈緒が佐々木にキスした意味を想像すると、ちょっと怖い。
今なら公式サイトからVirtual Theaterへ飛べる様です。