『記者たち 衝撃と畏怖の真実』よそ事ではない今の日本にも通じる話(ネタバレ感想)

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』よそ事ではない今の日本にも通じる話(ネタバレ感想)

記者たち 衝撃と畏怖の真実』を観ました。イラク戦争の真実を追った記者たちの話。本格社会派ドラマなのに尺は短く凝縮されています。『バイス』も同時期の政府側の話ということで合わせて観ました。『バイス』はまた別記事で。

SHOCK AND AWE   2017年米 91分

ストーリー

原題の”SHOCK AND AWE”は邦題にある”衝撃と畏怖”、2003年イラン戦争時の空爆の作戦名。
2001年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカ政府は大量破壊兵器を所持しているという理由でイラクへ侵攻しようとしていた。イラクのテロへの関与に疑問を持ったナイト・リッダー社のワシントン支局長ジョン・ウォルコットは、部下のジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルに真相を探らせ、政府の捏造である事を確信する。

キャスト

ジョナサン・ランデーにウディ・ハレルソン、ウォーレン・ストロベルは個人的にはお久しぶりのジェームズ・マースデン、ランデーの妻にミラ・ジョヴォヴィッチ、ストロベルの向かいに住んでいるリサにこれまた久しぶりのジェシカ・ビール、元従軍記者のジョー・ギャロウェイにトミー・リー・ジョーンズ、こういうテーマでは必ず見かけますね。そして、ジョン・ウォルコットに監督のロブ・ライナー

感想

記者たちに感情移入して見てしまいますが、本当は冒頭に出てくる青年の気持ちで見るべきでしょう。国の嘘を信じ、ベトナム戦争に従軍した父親の様に国の為に尽くしたいと思った青年。その結果は、彼の言う「どうしてこんな事に?」

彼の様な犠牲者を出さない為に行動した報道社の記者たちの信念が描かれています。
ナイト・リッダー社は日本で言うと通信社の様なものでしょうか。自社で新聞を発行しているのではなく、書いた記事は傘下の新聞社が掲載する。ニューヨークタイムスやワシントンポストなど大手が政府の言葉を鵜呑みにして掲載する中、周囲の圧力に屈せず、信念を貫き、常に真実を報道する記者たちの姿勢は彼らに期待しているもの正にそのものです。そして彼らが戦っているのは読者である戦場へ行かされる者やその家族のため。四面楚歌で、自分の主張が正しいと分かっていてもやるせない気持ち、結局戦争を止められなかった無念さも伝わってきました。

ウディ・ハレルソンジェームズ・マースデンも良かったけど、久しぶりに俳優としてみたロブ・ライナーが特に良かった。
我々が報道に求めるものが詰まった映画でした。
日本のマスメディアの方々に是非見習って欲しいです。
自分自身も真実を見極める力を磨かなければ。

政府の嘘を暴く報道物と言えば、代表はこの映画の中のセリフにも出てくる『大統領の陰謀』(1976)、最近のものでは『ペンタゴン・ペーパーズ』(2017)など名作が揃ってますね。『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)も見ごたえありました。
こちらも是非!

 

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