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鬼婆になるために 「ババヤガの夜」 王谷晶

本の旅

英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳小説部門で、日本人が書いた小説が初めて受賞したことで話題となった「ババヤガの夜」。図書館に予約を入れていたのがやっと借りられて、ようやく読みました。

ババヤガの夜 2020年 王谷晶

あらすじ

暴力が趣味の新道依子は、関東有数規模の暴力団・内樹會会の若頭補佐の柳に連れ去られ、会長の一人娘尚子のボディガード兼運転手をやらされる。依子に反発する尚子だったが、ある事件から少しづつ打ち解けるようになる。そんな矢先、約束場所から居なくなった尚子を探していた依子は、男に手を掴まれている尚子を見つけ…。

登場人物

新道依子:赤茶けた髪と薄茶の目を持つ22歳。北海道出身。暴力が趣味、犬好き
内樹尚子:内樹源造の一人娘、白浜女子短大の学生
柳永洙:内樹會の若頭補佐
内樹源造:関東最大規模の暴力団興津組の直参内樹會会長。10年以上前に逃げた若頭と妻を今も探している。
宇田川剛:内樹尚子の婚約者、内樹源造の兄弟分、豊島興業組長、拷問好き
西:内樹源造の部屋住み、犬舎の鍵の管理をしている
隅田:内樹源造の部屋住み
芳子:化粧品工場で検品の仕事をしている
斉藤正:小さい家具製作所の職人

ネタバレ感想

勢いがある面白さで、約180ページを一気に読みました。
著者がミステリーではないと言っている様に、謎解きをする話ではないのだけれど、最初に語られていない事実が明らかになる度に意外で驚きがあるので、謎が解けた気分になります。
特に中盤に出てくる芳子と斉藤正の正体に驚きました。

カバーの絵の天然が入った髪の方が新道依子、外国人の血が入っている容姿ながら本人もルーツを知らない。幼い頃から祖父に鍛えられ、体力や腕力面でも男を凌ぐ依子が羨ましくも思えます。
強い女というキャラは今までに居ないこともなかったと思いますが、暴力が唯一の趣味というのが新鮮。

カバー絵のもう一人がヤクザの娘尚子。贅沢三昧のお嬢様ではなく、無体な父親から多くを強いられている籠の鳥。

後になって、書かれていなかったのはそういうことかと分かってきます。
時代がいつなのかも書かれていなかったことに、読後気づきました。
実は、偶然出会ったふたりの40年に渡る付き合いが描かれています。
互いに誰かの何かとして生きるのではなく、何者でもない私であるために、慎ましくも穏やかで自由な生活を送るふたりの逞しさ。
結末は意外でしたが自然でもあり、読後感も良いし、すぐ読み返したくなりました。

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