コメディなのにほろ苦いラスト『ジョジョ・ラビット』(ネタバレ感想)

コメディなのにほろ苦いラスト『ジョジョ・ラビット』(ネタバレ感想)

ゴールデン・グローブ賞では作品賞と主演男優賞、アカデミー賞では作品賞・主演女優賞・脚色賞他にノミネート、賞レースを席巻している『ジョジョ・ラビット』。
観終わったあとは、何とも言い難いやる切ない(やるせない+切ない)気分になりました。

JOJO RABBIT 2019年独/米 109分

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ストーリー

第二次世界大戦下のドイツ。10歳のジョジョには、ヒトラーそっくりの想像上の友だちアドルフが居る。アドルフにも勧められヒトラーユーゲントの合宿に参加するが、上級生から臆病者とバカにされ、“ジョジョ・ラビット”というあだ名をつけられる。合宿中に怪我をして自宅で療養中のジョジョは、誰も居ないはずの家の中で物音を聞きつけ、壁の隙間に隠れ住んでいたユダヤ人少女エルサを見つける。ユダヤ人を悪魔の様に思っていたジョジョは恐怖でパニックに。

キャスト

ジョジョにローマン・グリフィン・デイヴィス、エルサにトーマシン・マッケンジー。ジョジョの母ロージーにスカーレット・ヨハンソン、親友のヨーキーにアーチー・イエーツ、教官のキャプテンKにサム・ロックウェル、他アルフィー・アレン、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャントなど。
監督は『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ、ジョジョの想像上の友達アドルフも演じています。

ネタバレ感想

第2次世界大戦下のドイツというなかなか描きづらい状況でのブラック・コメディ。
ヒトラーやナチスをテーマにしたコメディは『帰ってきたヒトラー』など、最近増えてきた気がします。
ようやくヒトラーやナチスを笑える時代になってきたのか、それともまたキナ臭い世界になってきているからなのか。

人物像などの説明はあまり無い映画なのですが、人物の背景を深読みしたくなりますし、観終わった後いろいろ考えてしまいますね。
前半は無邪気にヒトラーに憧れる少年と仲の良い母親の家庭が描かれますが、
戦争に行っているはずの父親は多分レジスタンとして活動しているし、母親がナチスに対して批判的な考えを持っていることも、観ているうちに分かってきます。
エルサを見つけてからは、次第にナチスへ疑いの気持ちが芽生えるジョジョ。

キャストが良いですね。ジョジョもヨーキーもエルサも可愛らしいし達者。
ロージー役のスカヨハも、夫が留守の寂しさと愛する息子がナチスへ傾倒しているのを心配しながらも、未来への希望を捨てない強い女性を自然に演じています。
やたら靴を映すな〜と思っていたらまさかのフラグで。(T ^ T)

グリーンマイル』や『チャーリーズ・エンジェルズ』(古い?^^;)の頃は好きじゃなかったサム・ロックウェルは、チャラそうに見えて実は優しくて芯が通っているみたいな役をやらせると最近ではピカイチですね。
ゲイの意地を見せた最期に天晴。

監督演じるアドルフのアクが強くて浮いてしまう気もするんだけど、それくらいのインパクトがないとコメディとして成立しないのかも。
露骨な描写はないにしても、戦争の酷いこともしっかり描いています。

エルサと接するうちに自分の信念が揺らいできて、母が言っていた愛に気づくジョジョ。
ラストに流れるデヴィッド・ボウイの曲で踊り始めるエルサとジョジョ。
少年が成長し、愛を知る物語ですが、余韻もほろ苦いです。

 


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