第81回ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞、第82回ゴールデングローブ賞ドラマ部門で主演女優賞、第97回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『アイム・スティル・ヒア』を観ました。
1970年代の軍事政権下のブラジルで、夫が軍に連れ去られ行方不明となった妻の闘いを描いた伝記映画。

Ainda Estou Aqui 2024年ブラジル/フランス 137分 PG12
ストーリー
1970年代、軍事独裁政権が支配するブラジル。元国会議員ルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな暮らしを送っていた。しかし軍の抑圧は次第に激化し、ある日、ルーベンスは軍に連行された後消息不明に。エウニセは、必死にその行方を追い続けるが、やがて彼女自身も軍に拘束され、過酷な尋問を受けることとなる。数日後に釈放されたものの、夫の消息は一切分からなかった。
キャスト
エウニセ・パイヴァにフェルナンダ・トーレス、エウニセの晩年をフェルナンダ・トーレスの母で本作と同じウォルター・サレス監督の『セントラル・ステーション』で、ブラジル人俳優として初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされたフェルナンダ・モンテネグロが演じています。
他、夫のルーベンス・パイヴァにセルトン・メロなど。
監督は『セントラル・ステーション』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス。
ネタバレ感想
ルーベンスとエウニセの息子であるマルセロ・ルーベンス・パイヴァの同名回想録が原作。
ウォルター・サレス監督が幼少期にパイヴァ一家と家族ぐるみで交流があったそう。
元下院議員だったルーベンス・パイヴァは軍事クーデター時に議員の職を剥奪されたが、家族には内緒で仲間と共に密かに政治亡命者の支援を行なっていた。
ある日突然軍に逮捕され消息不明となる。
妻のエウニセも逮捕され、12日間拘束された後釈放されるが、軍はルーベンスの逮捕を否定。
友人からルーベンスが殺害されたという連絡を受けたエウニセは、5人の子供達には知らせず、子育てをしながら夫の行方について政府に問い合せ続ける。
25年後にようやくルーベンスの死亡証明書を受け取る。
ブラジルの歴史も知りませんでしたが、夫の死亡を国に認めさせるために闘い続けた女性についても知りませんでした。
前半は、裕福で家族仲も良く、父親は子供に慕われ、夫婦は仲睦まじい、友人も多い、という幸せな一家の姿がたっぷり描かれます。その後突然の逮捕。幸せから一転、不安な中家族が助け合いながら前へ進んでいく姿を見せます。
子供達を不安にさせないよう気丈に振る舞う母、そんな母を気遣う子供たち。
主演のフェルナンダ・トーレスの演技が見事でした。
世界がきな臭い雰囲気に包まれ、危機感を感じた監督が撮った映画。
この映画もまた、他所ごとではない気がします。



コメント