『ROMA/ローマ』を観て香港デモを想う(ネタバレ感想)

『ROMA/ローマ』を観て香港デモを想う(ネタバレ感想)

『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロン監督作で、今年のショーレースを席巻した『ROMA/ローマ』。Netflixの配信のみだったのが、イオンシネマを中心に劇場公開。地元では観られないかと諦めていたところ、シネマルナティックが上映してくれました。スクリーンで観られて良かった。

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ROMA  2018年メキシコ 135分 R15+

ローマとは

とにかく評価が高く、数々の映画賞で賞を取りまくった話題作。
それ以上の情報を入れずに観たら、最後までタイトルのローマの意味が分からず。
実はローマって、イタリアのローマではなく、メキシコシティのコロニア・ローマのことでした。( ̄▼ ̄;アハッ・・・・

アルフォンソ・キュアロンの1970〜1971年の半自伝的な物語。
コロニア・ローマのある中流家庭とそこの家政婦の話ですが、実はキュアロンの家族と家政婦がモデルで、彼の家政婦だった”リボリアへ捧げる”とクレジットに出ます。

ストーリー(ネタバレあり)

クレオは、ソフィアとアントニオと4人の子供たちとソフィアの母親が住む家の住み込み家政婦。ソフィアとアントニオの夫婦仲は上手くいってなさそう。
家政婦仲間アデラの恋人の従兄弟フェルミンと付き合い始めるクレオ、フェルミンはなぜか日本の剣道や空手が混じった様な武術のトレーニングをしている。クレオはじきに妊娠し、フェルミンに打ち明けるが脅されて追い払われる。
クレオと一家が正月を過ごしに行ったアシエンダ(大農園)では、地主に対する先住民の小作人の不満から火事が起きる。
クレオが家具店へベビーベットを見に出かけた時は、学生の抗議活動のデモの最中。警官隊が学生たちへ発砲、店内へも民兵集団が銃を持って押しかけ発砲。クレオへ銃を向けたのはフェルミンだったが、何もせず逃げ出した。
緊張とショックからクレオは破水し、病院へ向かうが手遅れで子供は死産。
クレオを労わり、子供たちと一緒に海へ休暇に連れて行くソフィア。
ソフィアは子供たちにアントニオが出て行くことを告げる。
休暇の最後の日、海で溺れそうになった子供達を必死に助けるクレオ、ソフィアに感謝され緊張が解けたのか、本当は子供を望んでいなかった気持ちを話し、罪悪感から解放される。
休暇から戻ったクレオはいつもの日常へ戻って行く。

感想

最初は家政婦の日常を中心に淡々と話が進むし、カメラが横に移動するだけの長回しが多いので、この映画のどの辺が凄いんだろうと思いながら観ていました。
キュアロンのプライベートな回想から作られているということなので、かなり客観的視点で進みます。
狭いガレージに下手な運転で車庫入れする主人の様子に不穏な空気を感じ、切羽詰まっているソフィアの表情から夫婦仲の冷え込みが分かります。
アントニオの浮気とフェルミンの無責任さに、男って!(−_−#)となりますが、
主人と使用人と立場が違えど、苦労した女性2人に対するキュアロンの謝罪と労いの映画なんでしょうね。
客観的な撮り方でなかなか作品に入り込めないのだけれど、徐々に登場人物の気持ちがわかる様になり、最後には気持ちの区切りをつけたクレオとソフィアにホッとするくらいには入り込んでました。じんわり感動が来る感じ。
モノクロの映像で描く日常生活の風景が美しいです。

抗議デモへの発砲シーンでは、現在の香港が頭をよぎりました。
この映画の民兵の様にヤクザ者を使ってデモをしている香港市民を攻撃した政府。
1971年から変わっていないやり口。当時メキシコでは120人が虐殺されました。
同じ様にならないことを願うばかりです。

旅のお供

ルナティックにはコンセッションがなくて、自販機1台だけなので、
自販機限定のコチラ。トマトジュース苦手ですけど飲みやすくて当たりでした。

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