終戦の日に 『野火』(ネタバレ感想)

終戦の日に 『野火』(ネタバレ感想)

初公開から7年経った『野火』ようやく見ました。
87分でほんっと良かった。これ以上長いと辛かった。

 

Fires on the Plain 2015年日本 87分 PG12

 

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ストーリー

日本軍の敗北が濃厚となった第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られるが、食料も入院スペースも治療法もない野戦病院では、田村の入院を受け入れることはできず、部隊へも戻れず病院へも入れない田村は。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける。
彷徨う間に出会った永松や安田、伍長たち誰もが精神に異常をきたしていく。

キャスト

田村一等兵に塚本晋也、永松に森優作、安田にリリー・フランキー、伍長に中村達也、他山本浩司、辻岡正人など。
監督は塚本晋也

ネタバレ感想

大岡昇平の同名戦争小説(未読)の映画化。
作者自身のフィリピンでの戦争体験を基にしているが、内容はフィクション。
1959年に市川崑監督で1度映画化(未見)されています。

構想20年、日本が再び戦争へ向かっていることを心配した塚本晋也監督が反戦目的で作った本作、かなりショッキングな描写で、目的通り反戦映画となっているし、制作後毎年この時期にアンコール上映もされています。
シネマルナティックでも本日アンコール上映されていたのだけれど、劇場で観るには刺激強そうで自宅鑑賞。
それでも画面を見れない場面もしばしば。( ̄▼ ̄|||)

鮮やかな空、鮮やかすぎる自然の緑や花の色。
そんな中に転がる土色をした死体の山。
もはや誰も戦争に来た目的も上からの指令も忘れ、生きるという本能のための食事のことしか考えられない。
生きて日本に戻るという気力も、日々生き延びることで消耗し、善悪どころか、現実と妄想の区別もつかなくなってくる。
安田を父の様に世話していた永森も、孤独も耐えられないけれど安田も信用できなくなり、田村が現れた途端に安田に牙をむく。身近な日本兵同士で、まさに喰うか喰われるかという状況に追い詰められる。
田村がギリギリのところで戻れたのは、ただ運が良かっただけ。

撃たれて脳みそが飛び散り、はらわたがこぼれ、皮膚は剥がれ、鮮やかな肉片に蛆も蝿も集り、直視できないシーンが多々あり。
フィクションでありながらも、戦争での現実であることも分かっているので、下手なホラーよりよっぽど怖い。
こんな経験をする人が(自分を含めて)、世界中から無くなってほしいと願うばかり。

 

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