時をかけるゴースト 『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(ネタバレ感想)

時をかけるゴースト 『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(ネタバレ感想)

各地の映画祭や映画賞で評判を呼んだ『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』、ホラーかと思っていたら全くそうではなく、切ない様な、不思議なお話でした。

 

A Ghost Story 2017年米 92分

 

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ストーリー

アメリカ、テキサス州。CとMは郊外の小さな一軒家に住む若い夫婦。幸せな日々を送っていた2人だったが、ある日突然、夫のCは交通事故で亡くなってしまう。病院で遺体と対面したMは、夫の亡骸にシーツを被せると、悲しみをこらえてその場を後にする。しかし亡くなったはずのCは、シーツを被ったまま静かに起き上がると、そのまま妻のいる自宅へと戻っていく。そして、決して自分の存在に気づいてはくれない妻をただ見守り続けるのだったが…。

キャスト

登場人物に名前がないんですね。
Cにケイシー・アフレック、Mにルーニー・マーラー
他にも登場人物は居るのですが、背景の様な存在なので。
監督は『セインツ -約束の果て-』『ピートと秘密の友達』のデヴィッド・ロウリー

ネタバレ感想

多少の諍いはあっても、仲の良いカップルの片割れが突然亡くなってしまい、ゴーストとなって自宅へ戻ってくる。
ゴーストといってもシーツに目の穴だけ開いた、ハロウィンの衣装の様ないでたちで決して怖くはない。
(部屋の中にボーッと立っている姿にぎょっとはなるけど)
パートナーにもその姿は見えず、ゴーストの方も側でただ見守っているだけ。
悲しみの癒えないパートナーは思い出の詰まった家を出ていく時、引っ越す度に何か痕跡を残す習慣のある彼女は、家の柱に秘密のメモを隠していく。
彼女と共に行くのかと思ったゴーストは、メモが気になるのか家を離れず、メモを取り出せないうちに新しい家族が引っ越してくるけれど、新しい家族に苛立ったのか、大きな音を立てて怖がらせ家から追い出してしまう。
ある日向かいの家の窓に自分以外のゴーストを見つけ、話しかけると、向かいの家のゴーストは自分が何を待っているのかわからなくなっている。

ゴーストは家が無くなった後もそこに留まり、未来の建物の中に居たり、過去に戻ったり。
日本人的発想で、こいつは地縛霊かとか考えているうちに、ゴーストが念願のメモを見た途端に消滅。
執着が彼を生かしていたのか、思い出に生きていたのか。
メモに書かれていることを知ることより、メモを見ることがゴールになっていたのかも。

セリフもなく、顔も見えず、ただその場の人を見つめているゴーストの話。
淡々としていても退屈ではない不思議な映画でした。

 

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