『ブラック・クランズマン』ブラックパワーvsアメリカ・ファースト(ネタバレ感想)

『ブラック・クランズマン』ブラックパワーvsアメリカ・ファースト(ネタバレ感想)

ブラック・クランズマン』を観ました。今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞を含む6部門ノミネート、脚本賞受賞。作品賞を受賞した『グリーンブック』も同じく実話ベースの人種問題がテーマでしたが、こちらは差別される側からの視点。

BLACKKKLANSMAN   2018年米 128分

ストーリー

ロン・ストールワースの自伝小説の映画化。1979年、コロラド州のコロラドスプリングスの警察署で、ロン・ストールワースは最年少の初の黒人警官として採用された。情報部に配属されたロンは、新聞に載っていたKKK(クー・クラックス・クラン)の地方支部の調査を思いつくが、黒人の彼では潜入できないため、同僚のフリップとコンビを組む事になる。

KKK(クー・クラックス・クラン)とは

人種差別をテーマにした映画などによく出てくる白装束に白い三角頭巾を頭に被っている白人至上主義団体。十字架を燃やしているシーンなどがよく出てきます。WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)以外は認めず、差別や攻撃などヘイトクライムの対象とします。団員はクランズマンとも呼ばれるので、映画の題名の”ブラック・クランズマン”は黒人のKKK団員という意味。

キャスト

ロン・ストールワースにジョン・デヴィッド・ワシントンデンゼル・ワシントンの息子だそう。今後注目ですね。相棒のフィリップにアダム・ドライバー、KKKの最高幹部デービッド・デュークにトファー・グレイス、他、ローラ・ハリアー、コーリー・ホーキンズ、ロバート・ジョン・バーク、アレック・ボールドウィンなど。
監督はスパイク・リー、製作に『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールなど。

感想

うーん、感想を書くのが非常に難しい。エンタメとして面白く作っているんだけど、現代社会に対する批判もバンバン感じます。『風と共に去りぬ』のワンシーンで始まる冒頭だったり、アレック・ボールドウィンが差別用語を使い捲るVTRだったり、劇中で掛かる『國民の創生』という映画だったり、自分にはもう一つピンとこない描写もありましたが、その意味が分からなくても潜入捜査だけでも十分面白い。大体潜入捜査にうっかり本名をつかうとか、アフリカ系であるロンの身代わりにユダヤ人が潜入するとか、見るからに危なっかしくて、緩そうな割にハラハラします。
大惨事を未然に防いで一件落着したかと思えば、まだ終わっていないんだぞというラスト。とどめに2017年のショッキングな事件映像が出てきてエンタメから現実に一気に引き戻されます。事件に対する実在のデービッド・デュークやトランプ大統領のコメントも流れ、闘いはまだまだ終わっていないという強いメッセージを感じました。

 

映画の旅カテゴリの最新記事