絶望と虚無を超えて 『ザ・ライダー』(ネタバレ感想)

絶望と虚無を超えて 『ザ・ライダー』(ネタバレ感想)

ノマドランド』で賞レースを席巻しているクロエ・ジャオが監督・脚本を手がけ、第53回全米映画批評家協会賞と第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞で作品賞を受賞、バラク・オバマ米前大統領が2018年のお気に入り映画として挙げた内の1本『ザ・ライダー』をNetflixで鑑賞。

The Rider 2017年米 104分

Advertisement

ストーリー

アメリカ中西部のサウスダコタ州。カウボーイの青年ブレイディは、ロデオで馬から落ち頭部に大怪我を負ってしまう。馬が好きで調教師としても評判が高いブレイディだったが、後遺症に苦しみ医者からは安静を勧められる。生活費のためにスーパーでバイトをしながらも、ロデオ復帰への夢が捨てきれないブレイディだったが……。

キャスト

ブレイディ・ブラックバーンを演じるのはブレイディ・ジャンドロー、この映画はブレイディに現実に起きた話で、彼の家族である父親や妹リリー、友人のレインなども本人が演じています。
監督は『ノマドランド』のクロエ・ジャオ

ネタバレ感想

クロエ・ジャオ監督作のとても良い作品がNetflixで限定で配信しているというのを耳にして、他のことは一切知らないまま見ました。
主役のブレイディを初めて見る役者さんだと思っていたら、役者ではなくてこの話の主人公本人でした。
キャストのところでも書きましたが、この映画はブレイディに実際起きたことを映画にしたもので、自閉症の妹や、重度の障害があるレインも本人が演じています。
クリント・イーストウッド監督の『15時17分、パリ行き』みたいな手法。
ドキュメンタリーではないけれど、実際に起こった話。

ロデオ界では名の知れたブレイディでしたが、ロデオの大会中に馬から落ち頭部を損傷。
命は助かりましたが、吐き気が起こったり、握った手が開きにくかったりなどの後遺症があり、医者からは馬には乗らないように言われています。
子供の頃から馬と触れ合い共に育った彼にとって、馬と関われないことがどれほど辛いかが、見ている自分にも痛いほど伝わってきます。
ロデオができない中、調教師として力を注ごうとした矢先に、馬が足を怪我してしまい処分しなければならなくなり、気持ちの行き場もなく八方塞がり。
自暴自棄になりまたロデオをしようとするブレイディを止めたのは、彼を見守る家族や友人たちでした。
友人のレインも事故によって重度の障害を抱える様になりましたが、馬に乗るシミュレーションをしているときに目が輝いていて、馬に対する情熱は変わらないことが窺えます。
そのレインから、夢を諦めるなと励まされるブレイディ。

映画の撮影は、ブレイディが馬のトレーニングの仕事を終えてから撮影しなければならなかったのが、逆にマジックアワーの神秘的な映像が美しい作品となりました。
Netflix以外でも配信している様なので、ぜひ!

 


Advertisement

映画の旅カテゴリの最新記事